今日最後の仕事の書類を抱えて、センゴクさんの部屋にきた。
「センゴク元帥、書類です」
「ああ、ご苦労」
「それでは私はこれであがりなので、失礼しま…」
「アヤ、すこし待ってくれ」
「?」
センゴクさんに引き止められ、そのまま待っていると部屋に新しい来客が来た。
「あら…ガープさんにおつるさん」
「おお、先に来とったか!」
「待たせたねぇ」
「いや、どうせガープが遅れたんだろう…」
「?今からなにかあるんですか?」
三人の会話に疑問を口にすれば、おつるさんが手にしていた何かを包んだ大きな風呂敷をくれた。
「今日は20の誕生日だからね、私たちからの贈り物だよ」
「わあ…ありがとうございます!」
許可を得て開けて見れば、綺麗な布地が見える。
「綺麗…」
「20の祝いにはぴったりだと思ってな」
「このあとあの三人と出かけるって聞いたからね、今着付けてあげようと思ってね」
「あの小僧共を驚かしてやれ」
「え、あ、はい!」
***
「遅いな…」
「珍しいねェ〜」
「なんかあったかな」
本部の門の前で立ってアヤを待っていると、からんころんとあまり聞きなれない靴音。
「遅れてしまってすいません!」
靴音に混じって聞こえたかわいい声に、すこし目線を下げると、俺たちはそろって言いかけた言葉をなくした。
「…」
「えと、歩きなれてなくて時間がかかって…」
「………その格好と関係ある感じ?」
「あ、はい…センゴクさんとガープさんとおつるさんが祝いにくれまして…」
似合いますか?ともちもちした白い頬をピンクに染めて、小首を傾げて微笑む、白地の振袖姿のアヤ。
短いふわふわの明るい茶髪も綺麗にまとめて、しゃらんと花の髪飾りを風にゆらしている。
赤をいれた薄く施された化粧も幼さの中に色気を見つけていて、天使、という一言に尽きた。
センゴクさん達、いい仕事しすぎ。
「…?あの…みなさん…?」
「おォ〜…アヤちゃんすっごく似合って…」
「……」
「っわ!サカズキさん…?」
珍しくぼうっと見入ってたボルサリーノが褒めようとした時
黙って固まってたサカズキがアヤのまえにしゃがみこんで、もぎゅ、と抱きしめた……
「って、ちょっとサカズキなにやってんの!?」
「…………抱き上げようとしただけじゃ、歩きにくそうじゃからな。(つい抱きしめてしもうた…かわいい…)」
「(絶対嘘だろ)」
かわいいとか思ってんだろうな、あいつもベタ惚れだし。
その証拠に、サカズキに抱き上げられたアヤが、いつもと雰囲気ちがうの感じてんのか、落ち着かない様子をしてる。
「と…とりあえず、その…行きますか?」
「…ああ…」
「そうしようかァ」
「そうだね、これ以上アヤをお持ち帰りしたくなっちゃう前に…」
歩き出し、言いかけた瞬間、ボルサリーノとサカズキから顔面と腹部に
モーションなしの拳と蹴りをもらい、思いっきり砕けた。
本当のことなのにひどくね??
身体を直して、アヤを連れたまま先を行く同僚2人の背中をジト目で見てから追いかけた。
大人になる君に捧ぐ
(その後、バーで渡したプレゼントまでもが三人揃って被るとは誰も想像してなかった)
(ちょっとォ〜…なんでわっしの真似するかなァ〜)
(いや真似したのはあんたらだろ。匂いこそ違っても、揃いも揃ってペア・フレグランスとか)
(………くそ…らしくないもんにするんじゃなかったのう…)
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