カチャ、と小さく音を立てて空にした皿の端にフォークを置く。


「フッフッフッ…俺の国の料理は気に入ってもらえたか?アヤ部長殿」

「…ええ、美味しかったです。リク王家の件から復興している最中とはいえ…ドレスローザはやはりいい島ですね。食事も町並みも」


情報伝達部長としての私の護衛として付きそってくれたクザンさんは軍艦に待機してもらい、数名の部下をドレスローザ監査のため街に放ち、私は王宮に乗り込んだ。

ドフラミンゴさんに少しばかり質問調査をとり、城内を少し拝見したいと腰を上げようとしたら昼食をもてなされ、今に至る。


「ところで…そろそろ王宮内を少し散策したいんですが」

「しらみつぶしに調査するほど、部長殿の目にはそこまで疑わしくみえるか?」

「…お気を悪くされたのなら謝りますが、私は情報伝達部長…海軍及び世界政府のためにできるかぎりの調査するのが仕事ですので…」

「フッフッフッ…政府のためねェ…心にもねェ口上はつまらねェな」


不満があるんだろう、と嗤う人は本当に嫌な人だ。

それでいて食えない、危険な人でもある。


「……ドフラミンゴさん、貴方がどこまで私を知っているのかはわかりませんが…

貴方が七武海である以上、貴方がどんな人物か把握するため調査することが私の仕事であるのは事実です。

…ですから、そう非協力的ではこれから先うまくやっていけないかと…」


あまり自分でも好きじゃない言い方をしたが、ただでさえかいかぶられているのだから

この人にはこれくらい言わなくてはと、なるべく普段使わない威圧的な言葉を頭のボキャブラリーの中から探して紡いだ。

するとドフラミンゴさんは一瞬驚いた表情を見せたあと、愉快そうに笑いだした。


「フッフッフッ!まさかお前にんな台詞を吐かれるとはなァ…いいぜ、部下に城内を案内させてやる」


そう言って壁のそばに立っていたメイドの人と眠そうにあくびをしていた青年に合図を出した。


「ベビー5、イディ。このちいせェ部長殿が迷子にならねェように案内してやれ。帰りまで丁重にな」

「わかったわ、若」

「了解了解、まかせとけ」


案内付きに少々不満は感じたが、これ以上強く出ては危険な気がして、ドフラミンゴさんへ短く礼を口にした。


「ありがとうございます…では失礼します」

「ああ、せいぜい俺にかけてる嫌疑を晴らしてくれ…アヤ」


特徴的な笑い声を背中で聞きながら、その場をあとにした。



生える草の根かき分けて

(幼ェガキは厄介だが、どこまでやるのか興味深い)


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