昼も夜もない日差しにつつまれる不夜島、エニエス・ロビー

司法の島と呼ばれるこの場所にも足を踏み入れ慣れてきた。


「今回の指令です…お願いしますね」

「了解…たしかに受け取りましたよ」


極秘書類であるため、封をした白い封筒に入れた指令書をCP9の長官に手渡した。

中身がどんな内容かを知っている分気は進まないが、このCP9という部署はそのための部署。

それが正義のために必要と言われても、いいのか悪いのかはわからない。

でも、ここにCP9の皆さんが仕事をしてくださるから、この島のように護られるものがあるのも事実。

だから私は、正しいのかなんて疑問に蓋をして指令の通達をする。


***


「ふう…」

「アヤじゃねぇか、きてたのかよ」

「あ、ジャブラさん!」


長官室を出てすぐ出会ったジャブラさんにかけよる。


「新しい指令か」

「はい。ジャブラさんたちには後ほど伝えられると思います」

「直々に暗殺者んとこにご苦労なもんだなァ」

「そんな…皆さんに任務を伝えるのも私の仕事ですから」


そう笑っていえば頭をくしゃくしゃとなでられた。

気持ち良くて目を細める。

最初に会った時の怪訝な目をされたりしてたのが懐かしいものだ。


「…今日はもう油売らずに帰んのか?」

「あ、はい。今日は仕事が詰まってまして」

「ギャハハ、案外暇じゃねぇんだな」

「あ、失礼ですねジャブラさん!私はそれなりに働いてるんですよ」


ジャブラさんのからかいにひとしきり笑ってから、それじゃあとその場をあとにした。


***


「…おい、ルッチ。てめぇいるんだろ」

「…」


アヤの消えて行った方向とは逆の暗がりに声をかけりゃ、予想通りルッチのやつが出てきた。

洗い流してきたみてぇだが、真新しい血の匂いが消えてねェ。


「血生臭ェんだよ、化け猫」

「うるせェ、野良犬」

「…またどこぞの馬鹿が、アヤにアプローチしてたのか?」

「…アヤに害をなしかねねェ不穏分子は、どんな手を使っても全て排除しろという指令をこなしただけだ」


お前その大義名分を笠にきて殺し楽しんでんだろ、と思ったが、こいつの言う任務も事実だ。

アヤを通じず、総帥から直接俺たちCP9に通達された指令。


「…やりすぎて気づかれんじゃねーぞ」


保護対象であるショウガン・アヤにはけして気づかれるな。

それも任務の条件にあったはずだ。

割り切りだしてるとはいえ、あのアホなほどまっすぐなアヤ本人に言えるような話でもねェし当然の話だろう。


「…そんなヘマを俺がするか。お前じゃねェんだ」

「てめェルッチ!喉笛食いちぎるぞ!」

「その前に俺が殺すがな」



光には影がつく

(闇に消える話は、アヤが必要以上知る必要はない。知らなくていい)
(だから影のことは影が負う。あれは、あのままでいてくれと)

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