あれから拒否も綺麗に切り捨てられて本部で仕事をするようになってしばらく

「アヤ、お前は俺の次に部長の椅子に座るために特別にここに来たんだから、まずは海軍の奴らのことを把握せにゃならん」

「は、はあ…(来たかったわけじゃないんだけどな)」

「というわけで、しばらくは海軍将校たちのとこに行ってこい」

「え!?」

「相手のことをしらねぇと、正しいもんなんて見えないだろ」


***


それで一番穏やかそうな、青雉さんのところに来たんですが…


「…(やっぱり身長高い…)」

「ぐおー」


部長の言葉には納得してきたものの、大きなソファでずっと寝ているこの人から、私はなにを読み取ればいいんだろうか。


「(勤務時間だから起こした方がいいのかな…でもお疲れなのかも)」


机の後ろにかかげてある『だらけきった正義』って言葉から、ただの居眠りな気もしないでもないけど


「(いやでもまさか大将がそんな…)」

「zzz…んぁ…?」

「あ!青雉さん!」


起きたらしい青雉さんに声をかけたら、アイマスクを軽く押し上げてこっちを見てきた。


「ん?…あらら、この前きたアヤちゃんじゃないの…どうかしたの?」

「いえ、部長に将校たちを見て来いと言われまして…」

「ああ、なるほどね…」

「ところで青雉さんは今日の仕事は…?」

「んー…昼寝、かな?」

「へ?」


昼寝?お昼寝って仕事だっけ?

私の中にはなかった回答に目を点にすると、青雉さんはまた寝ようとアイマスクをつけだした。


「ちょ、書類しなくていいんですか?」

「いいのいいの…いつもだから」

「いつも!?」


いつも寝てるんですかこの人!


「なに?アヤちゃんも寝るかい?女の子なら大歓迎よ」

「いえ…結構です…」

「あらら、残念…でもまあ肩の力抜いてほどほどに頑張ってね」


あと俺のことはクザンでいいから。

そう言って、わしゃ、と私の頭を一回撫でるとまた青雉さん…クザンさんは眠り出した。


「…(不思議な人だなあ)」


というか、掴み所がないだらけた人なんだな。

なんとなく溜まった書類の山を見て確信したのであった。


だらけきった正義

(部長、)
(ああ帰ってきたか。クザンはどうだった?アヤ)
(クザンさんはだらけた人なんですね)
(大体その通りだ)
(でも、なんだか悪い人じゃなさそうで、優しそうでした)

(…あの子まだ子供じゃねぇの…でもなんか癒されんね…すごい普通で)

back