いきなりだが、情報伝達部長の仕事は世界政府や海軍の情報保持、任務や情報の伝達など多岐に渡る。
その一つに、遠征任務として世界政府加盟国の状況把握や政府に報告をするために視察任務がある。
この任務も最初は大変緊張したし、慣れなかったけど、最近はうまくできるようになってきた。
そして今回は、とあるグランドラインの島で、護衛のクザンさんとこの任務をこなした。
後は帰るだけのはずだったけど、そこに飛び込んできた一報。
「近くの島で海賊が…?!」
「はい、住民からの通報のようでしたがすぐに途切れてしまいまして…どうしましょう?」
「…場所が特定できてるなら十分です。通報が途切れたなら島の方が襲われてる可能性がありますし、今すぐそちらに向かい…むぐっ!?」
「ちょっとちょっとアヤ、ダメだよ勝手なことしちゃ」
うしろから口を押さえられ、抱きしめられた。
上に視線をやればクザンさんだった。
掌をはずし、振りかえってクザンさんに声を荒げる。
「!?何故ですか!」
「そういうのはね、急な通報でも上の指示を仰がないとダメなんだよ。わかってるでしょ?」
「!っでもそんなことをしてる間に新たな被害が出ます!」
規律や規則より時に優先すべきものはあるはずだと言えば
正義感や熱意だけじゃ組織は動かないものなんだよ、とどこか諦めたように言われた。
それがなんだか受け入れられなくてむっとして、目の前の部下に勝手に向かうようにと指示を出した。
「!ちょっとアヤったら…」
「クザンさんが行かないなら私一人でもいきます!」
今行けば助かるはずの人を見殺しになんて、私にはできない。
するとクザンさんが私を抱きしめる腕に力を入れ、ため息をついた。
「…負けたよ。アヤだけ行かせられないし、俺も行くからさ…無茶はやめてよ」
「!…ありがとうございます…」
「その代わり、帰ったら一緒に怒られようね」
「もちろんです!」
頭を撫でてくれる優しいクザンさんに微笑んでから、今度こそ軍艦を出した。
問題事まで全速前進
(やれやれ…アヤは優しすぎるね)
(優しいというか…ただ見捨てたくないんですよ)
(それを優しすぎるって言うんだよ)
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