「ぐー…」

「クザンさん…いつまで眠る気ですか。定例会議のお時間なんですけど」


ゆさゆさと大きなソファに寝転がる大きな体をゆさぶってみても起きないこの人は、いつもいつも仕方ないなあ。

この仕事をしない姿にすっかり慣れきってしまった自分がいて、ちょっと苦笑が漏れる。

けれどこのままだとまた、センゴクさんと赤犬さんの鉄槌がくだることになるだろうと思い直して

もう一度ゆすろうと身体に触れようとした時、伸びてきた腕にぎゅうっと抱きしめられた。


「ふわっ!?」

「あー…ほっそいね…」

「びっくりした…!クザンさん起きたなら会議行きましょうよ」

「えー…」


私の身体を抱きしめたままのクザンさんがアイマスクを指であげて、めんどくさいと言わんばかりの目を見せた。


「そんな顔してもダメですよ」

「んー…ならアヤさァ…仕事したら一日俺と過ごしてくれる?」

「ちゃんとした休暇でなら構いませんよ。いくらでもお付き合いします」

「ほんと?嘘じゃない?」


じっと期待を込めて見つめてくる目の前の瞳に頷けば、いきなりがばっと上半身を起こし、再び抱きしめてきた。


「約束ね。絶対今日中に仕事終わらせるからデートしてよデート」

「は、はい!」


よくわからないけどもお出かけでやる気がでるならと返事をした時、ばんっと勢いよく扉があいた。


「クザン貴様ァ!会議にさっさと……」

「おォ〜…クザンお前ェ〜…仕事もしねェでなにをしてんだァ〜?」

「さ、サカズキさんにボルサリーノさん!」

「げっ」


入ってきたのはお二人で、彼らの表情は明らかにイライラしていた。

時計を見れば、会議の開始時間はとうに過ぎていた。


「あ、お、お二人ともごめんなさい!」

「アヤ、お前は悪くない…悪いのはお前に絡んで駄々をこねただろうそのバカタレじゃ」

「クザン〜…灸を吸えられたいんだねェ〜」

「い、今から行くって!」


私を抱いたまま慌てて立ち上がったクザンさんに、能力を発動しかけていた二人が怪訝な顔になった。


「…めずらしいねェ〜」

「…明日は槍でも降るか」

「失礼じゃない?アヤと約束したからね、今。今日は真面目に仕事するって」


ね、と同意を求められてこくこくと慌てて頷いたら二人はなんとなく納得したようで能力を押さえてくれた。


「…ならさっさと行くぞ」

「アヤちゃんとの約束を嘘にしたらぶっとばすよォ〜」

「わかったって」


そしてクザンさんは私を抱えて立ち上がり、二人と歩き出した。



三匹と一羽

(アヤちゃん、クザンとどんな約束したの?)
(そりゃ二人だけの秘密だよ、ね?アヤ)
(…言わんか怪しい)
(いいじゃん変なことするわけじゃないし)
((信用できると?))
(…)
(あはは…まあまあ、別に特段変わったことは約束してませんから)

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