アヤちゃんの第一印象は、小さくて平凡な子。

いい点もなけりゃあ嫌な点もなく、普通の女の子。

特に見た目に目立ったところがあるわけじゃねェしなァー

だが、あのサカズキが一目惚れしていた子という点と

これから科せられることの哀れさから、わっしは幾分か彼女に当初から興味があった。

そして今は…


「アヤちゃーん、そろそろ休憩に…」

「ふふ、来る頃だと思いましてコーヒー淹れときましたよ」

「おー…アヤちゃんは気が利くねェー」


今では、印象は少し追加された。

驚くほど純粋で、よく気がつく気の利く娘さん。

平凡なのは変わらねェが、それが逆に、濃い海軍では数少ない癒しの要素になっている。

それが、なんとなくたまらねぇなァとは思う。


「アヤちゃんは本当に良妻になりそうだよォー」

「あら、そうですか?」

「コーヒーもわっしの好みだしねェー」

「うふふ…それじゃあまるでボルサリーノさんのところに嫁ぎにいくみたいですね」


冗談めかして笑ったアヤちゃんに、それはそれで悪くないなァと思った。

嫁にはもってこいだろう。アヤちゃんは。

実際、海兵たちからの人気も高い。


「(でも、これから籠の鳥にする子にプロポーズしたいと本気で思えるほど、無謀にはなれないねぇー)」


若い子への愛情に熱中するほど、わっしはもう若くはない。

そう結論付けてコーヒーを口にする。


「(……でもアヤちゃんに癒されながら、このコーヒーを毎朝飲むっていうのは幸せかもねェ…)」


アヤちゃんとなら、一人の男として家庭を持つのも悪くはないかもしれない。

そんな矛盾している自分に、自嘲が零れた。



幸福な習慣は

(…ねえ、アヤちゃーん)
(はい?)
(嫁ぐって話…アヤちゃんが年頃になったら、わっしのとこに本当に嫁いでみるかい?)
(ふふ、そうですねぇ…貰い手がいなかったらそうしてくださいな(冗談好きだなあ))

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