海賊短編 | ナノ
日常≠平穏



「ぐ〜」

「クザンさん起きてくださいー!」

「ん〜…あらら、アヤじゃないの…なに?」

「なにじゃないです!会議の時間ですよ!」


私から見たら随分とおっきいソファでのびのび寝ているクザンさんの体をゆすって起こせば

クザンさんはアイマスクをはずして、気だるげに体を起こした。


「あー…そうだっけ?」

「そうですよ!行かないとまた元帥に怒鳴られるし、赤犬さんと喧嘩になりますよ」


前はクザンさんが大遅刻をし、それで喧嘩がヒートアップしすぎたせいでガチなバトルに発展しかけ、最終的に会議にならなかった。

だから今回はクザンさんが遅れないように私が派遣されたわけだが

正直クザンさんは行きたくなさそうにしている。


「…ねえ、アヤ」

「一緒に私はサボったりしませんよ」

「あら〜…俺がいう前にわかるなんて成長したね」


じっと目の前のソファに座ったまま見下ろしてくる人の先に続くだろう言葉を切り落とせば感心したような声。


「貴方方と仕事していたらそれくらい察せるようになりますから」

「いやいやそんなことねぇって」

「いえ、貴方方は自分で思ってるよりわかりやすいですもん…ってそれより早く行かないと遅刻しちゃいます!」


だらけきった正義というか、ただ、だらけているだけの人を立たせようと

むむーっと腕を引っぱると、逆に引っ張り返されて、思い切り座ってるクザンさんの足の間にダイブし、腰に抱きつくような形になった。


「っいたた…クザンさん…もう怒るべさ!」

「まあまあ、ふざけただけだからそうカッカしなさんな。またなまってるしね(胸…育ったなあ)」


いや、誰だってイラッとするべ!!

そう思いながらも頭を撫でられると何も言えなくなり

ため息だけが口から出る。


「全く…赤犬さんに怒られたらクザンさんのせいですからね」

「あらら、一緒に怒られてくれないの?」

「貴方方の化け物レベルの喧嘩に、能力者ですらない私を巻きこまないでください」


もし私が死んだら、死因は海か海賊以外の自然災害的な何かだったら、確実に大将御三方のせいだと思う。


「だいじょうぶだいじょうぶ。俺が誤って凍らせちゃったら早めに割れないように溶かしてあげるから」

「すいません!それ具体的にどこに安心したらいいんですか?!」

「だってサカズキとかボルサリーノの技が当たるより、まだ取り返しつくじゃない」

「Σそういう基準で話してる時点でダメなんです!」


やっぱり海賊より身内に殺される方が早いんじゃないだろうか。

ロギアにやられた場合、災害保険効くのかな…


「それに…貴方のアイスパルチザンが当たった場合は取り返しつきませんよ。即死確定です」

「あー……それは頑張って避けてよ」

「億越えの海賊たちですらそれが厳しいのに無茶振りすぎなんですが…というか真面目にクザンさんが仕事したら回避できるんですよ」


だから行きましょうよ

そういってぎゅーっと腰に抱きつく力を強める。

と、クザンさんが私の頭をなでていた手を止めた。


「あー………悪いけどアヤ、もう回避できねぇや」

「え?……Σ!」


クザンさんの見ている方向には、扉を開けている状態で蒸気を出している赤犬さんがいた。


「(激おこだ!!)あっ赤犬さ…」

「アヤ…クザンを呼びにいけとはゆうたが…何しちょる」


どろりと、赤犬さんがつかんでいた金属製のドアノブが彼の能力によりとける。


「(ひぇぇ!!)い、いえこれはクザンさんが動かないものですからッ!!」

「あれ、俺のせい?」

「どの口がそれ言います!?」

「…クザン貴様…」

「いやいやそんな嫉妬はいい年して醜いんじゃない?サカズキ」

「何の話じゃ!貴様はアヤに絡まず仕事をせんか!!」


ぼこぼこっと音をたてて赤犬さんの身体がマグマに変わる。

するとそれに対するようにクザンさんの身体も氷へと変貌していく。


「ちょ、お二人と…」

「今日という今日はその根性叩き直しちゃる…!」

「はあ…そんな熱くならんでもいいんじゃない?」

「いや、だめ!ダメですってばー!!」


ドゴォォン ぱりーーん


「っきゃあああ!!!」


身体が爆風に吹き飛ばされる。

嗚呼、やっぱり身内に殉職させられる方が、早いかもしれない。





(一体何事だ…ってアヤ部長ぉぉ!?)
(きゅう…)
(また大将方がアヤさんまきこんで喧嘩してるぞー!!)
(誰か至急担架とガープ中将たちを!!)

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