小鳥の丸洗い
「…」
「…」
俺の膝の間に座って、黙々と本を読むアヤの毛先がぱさついた髪を弄る。
「…痛んでいるな」
「え?あー…最近シャンプー切れて、石鹸で洗ってるんですよ」
「馬鹿か。お前は女だろうが、気ぃ使え」
毛先が絡んで仕方ねぇだろうに。
そう思いながら、ゆるい天パの髪を弄る。
やはり軋んでいる。
「忙しくて買い出しにいけてないんです」
「部下やら使えばいいだろうが」
「そんな私用に部下なんて使えませんよ」
「お前が石鹸使ってるなんて聞いたら、自主的に買ってくるだろうさ」
あの大将達も、翌日には高いシャンプー引っさげてくるだろう。
しかしアヤは、もともと髪質よくないんで申し訳ないですから、と苦笑を返してきた。
「…なら俺が髪を洗ってやるか?」
「え?」
「俺が触る時、触り心地が悪ぃ。だから行くぞ」
「いやそれなんかペットみたいな扱いじゃ…Σって、はなしてくださいよーっ」
暴れる体を片手で担ぎ上げて、自室にシャワールームに連れて行く。
「ぴぃぴぃ鳴くな」
「え、いや、うわああああ…!!」
(…やはりシャンプーを使った方がいい。(さわさわ))
(は、はい…もう石鹸で洗いません(お嫁いけない)(ぷるぷる))
((…同じ匂いをさせているのも悪くないな))
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