海賊短編 | ナノ
希望的未来観測



「もう、こんなに汚しちゃって!」

「は、離せよネメシス!」

「あら、綺麗なお姉様に髪洗ってもらえて嬉しいでしょ」

「いだだだだ!!わかったからわかったから!ネメシスの馬鹿力痛いんだって!!」


ばしゃばしゃと泡を飛ばして暴れようとするサボを片手で押さえつけて髪をわしゃわしゃと洗ってやる。


「サボだせぇな!」

「だせぇー!」

「うるせぇよエース、ルフィ!」

「あら、次は二人よ?ちょっと待ってなさい」

「「Σ!!」」


にっこりとしたまま言えば、二人が逃げ出した。


「あらあら、あの二人ったら仕方ないわね」

「お前ら逃げんなよー!!」


二人の背中に向かって怒鳴るサボを見て、くすくすと声を零して笑い、泡だらけの頭を撫でた。


「サボみたく綺麗になった方が男前が上がるのに、残念ね」

「…あんたも年下っていっても男なんだぞ俺たちは!」

「あら…もしかしてこのネメシスお姉様に裸見られるの恥ずかしいの?」


にまっとからかうように言えば、顔を真っ赤にされた。

なんて可愛いのかしら、うちの三兄弟は皆。


「ふふ、そうよねーサボももう一人前の男だものねー」

「か、からかうなよネメシス!」

「うふふ、ごめんなさい。サボが可愛くてついね…さ、流すわよ」


ゆっくりと泡を洗いおとしてやれば、溜息を吐き出された。


「…俺はあんたにはかっこいいって言われてぇ」

「まあ、サボはかっこいいわよ。きっと将来モテるわー」

「…それ、男として見てないだろ」

「うふふ、まあそうねえ…あと10年くらいして、立派な海の男になったら見てあげようかしらね」

「!本当だな?!」

「ええ、その代わり私をうんとどきどきさせられるような、いい男に育たなきゃダメよ?」


まったく、告白まがいのセリフをどこで覚えてきたのかしら。

きっとサボは、女の子に困らないわね。

そう思いながら、いつもの笑顔のまま受ければ、絶対だぞって念を押された。


「(まったく、どんな子になるのかしら)」


将来が本当に楽しみだわ。



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