庇護の果て
「あっ」
「ってーな…どこ見てんだガキ!」
「す、すみません」
「謝ったらいいと思ってんじゃねーぞ!」
「(じゃあどうしろと…)」
ボルサリーノさんの遠征の付き添いできた島の中で、明らかに怖い人にぶつかってしまった。
海軍や新世界の海賊さんで怖い人の耐性はついているけれど、ねちねちと絡んでくるタイプで困った。
面倒ごとを起こすのはよくないのに。怒られるなあ。
そんなことを考えながら半分以上聞き流していたら、いきなり腕を掴まれた。
「いたっ!?な、なにするんですか!」
「謝罪の気持ちがあんなら身体で払えってんだよ!」
「え、あ、ど、どういう意味ですか…?」
身体?肉体労働のこと?
「カマトトぶってんじゃねーぞ!」
「(な、なんの話?!)」
「おやぁ〜…うちのアヤちゃんに何してるのかなぁ〜…」
引きずられそうになるのを抵抗しながらハテナを頭の中で飛ばしていたら
私の腕を掴む男の手を、別れて探索していたはずのボルサリーノが掴んでいた。
笑顔だけど、やばい。これは結構怒ってる。
「っ!?てめぇ海軍大将の…!」
「あ、あのボルサリーノさ…」
「なにしてるのかな、って聞いてるんだけどねェ〜…聞くまでもねぇか〜」
瞬間、ボルサリーノさんの手に力が入り、私を掴んでいた男の人の腕がボキッと嫌な音を立てて折れた。
そして、同時に起こる痛がる悲鳴。
「っ!?」
「さあアヤちゃん怖かったねぇ〜」
さっさと船に戻ろうか、と男の人を離し私を子供のように抱き上げてボルサリーノさんは歩き出した。
***
「あれはやりすぎですよボルサリーノさん!」
「んん〜…わっしとしてはあれじゃ足りないくらいだけどねェ〜」
うちの可愛いアヤちゃんに絡んだ挙句、身体を要求するなんて万死に値する以外何があるんだろうねぇ
「アヤちゃんがいなかったら殺ってたよ〜」
そう言って頭を撫でたらアヤちゃんは複雑そうな顔をした。
少し顔が青ざめているあたり、怖いんだろうねぇ
「怖がらせてごめんね〜…でもアヤちゃんが大切すぎて仕方ないんだよォ〜」
抱き上げたままの小さな身体を、より強く抱きしめる。
「大切な宝ほど、わっしは触られるのが許せないもんでよぉ〜…分かってほしいねェ〜…」
言い聞かせるように囁いて優しく頭を撫でるとアヤちゃんは戸惑いながらも頷いてくれた。
本当にアヤちゃんが素直ないい子で良かったよォ〜
(なんでこんなに怖い思考してるんだろう…)
prev next