焼印
健康的な白い肌に、小さいながら軍人らしくしなやかに引き締まった華奢な体。
誰にも侵食されないと言わんばかりの白さを汚して、消えない痕を残してやりたくなる。
指が食い込むくらいに掴む。
じゅっ、と肉が焼ける音と同時に苦しむような悲鳴が上がった。
「っひ、ぐ…!?ぁ…熱っ…!」
「泣くなアヤ…これぐらいのこと耐えてみせんか」
手を離し、アヤの肉が焼けた匂いを鼻先で感じながら
僅かにただれて、もはや白などとは到底呼べない色へと変色した部分に舌を這わせる。
最初はワシに負け出て行ったあの馬鹿に、身体を開いたアヤへの腹立たしさから行った行為じゃったが
身体を震わせながらワシの名をか細く呼ぶ声に、戦闘の時以上の高揚感を覚えるようになった。
「ぅえ…っもう、痛いのは…やめて…さ、かずき…さ、ん…」
涙を浮かべて乞うような静止の声を発する、細い喉に触れる。
痛めつけるも甘やかすも、生かすも殺すも、ワシの自由。
アヤの全てを自分が握っているこの瞬間、アヤの瞳はワシを見る。
許しを願うような、全ての采配をワシに委ねた目で。
その目をさせているのは、支配しているのは誰でもない自分。
…それなのに興奮するなと言う方が、難しい話じゃ。
「アヤ…痛みはそんなに嫌か?」
「っ…」
必死さを殺しながら小さく首を縦に振る姿に、更に支配欲と優越感が高ぶるが抑え込み、濡れた頬を撫でる。
「…なら、ワシの前から逃げるなよ」
「ぇ、…?」
「ワシの前から逃げる素振りを見せたら、その瞬間焼き殺すけぇの…」
「!に、逃げません…!逃げませんからぁ…っ…」
もう許して、と鳴いたアヤの言葉に満足したと同時に、空虚な穴。
(…言わせたかった言葉はこれだったか?)
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