蝶よ花よと愛でた先
「アヤちゃんはいつまでも小さくて可愛いねェ〜」
私を人形みたく膝の上に座らせ、優しい手つきで髪を梳いてくるボルサリーノさん。
この人は昔からこうだ。
子供扱い、というか女の子扱いのような、むず痒いことをしてくる。
嫌だ、というわけではないが、気恥ずかしい。
昔それを言ったら
『アヤちゃんは、わっしにとってはお姫様だからいいんだよ〜』
と、いつもの間延びした調子で返事が返ってきた。
やめる気はないんだろうなあ、とそれから文句を言うのはやめた。
そうしたらこの扱いが定着してしまった。
「…ボルサリーノさん、私はもう子供じゃないんですが」
「知ってるよォ〜」
「ならいつまでも、こういう扱いは…」
「でもわっしからしたらアヤちゃんは十分子供だからねェ」
それを言ったらほとんどそうじゃないですか、と少し頬をふくらませてみた。
すると相変わらずの笑顔で、怒らないでよ、と唇に触れるだけのキス。
「!っぼ、ボルサリーノさ…」
「それにわっしのは子供扱いじゃなくて、お姫様扱いしてるんだよォー」
アヤちゃんは、いつまでもわっしの可愛いお姫様だからねェ。
「ずっと大切にしてあげるよォー、アヤちゃん」
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