神童の綺麗な指が、鍵盤の上を駆け回る。
俺は神童の弾くピアノの音が好きだ。
音楽のことはよく分からないけれど、神童のピアノには何か引き付けられるものがある。
もしかしたらピアノを弾いている神童の真剣な顔を見るのが楽しいだけかもしれないけど。
そんなとりとめのないことを考えているうちに曲は終わっていたようで。
俺の目の前には少々不機嫌そうな顔の神童。ああ、泣きそうだ。でも、かわいい。
「霧野…聞いていたか?」
少し震えた低い声で尋ねられる。
やばい、もうすぐ神童は泣く。付き合いの長い俺にはわかる。
ピアノの演奏が上手くいかなかったときやサッカーで何か失敗したとき、こいつは必ず泣く。
「お前が弾いてくれって言うから、…弾いたのにっ…!」
涙の溜まった目で睨まれる。このまま神童の泣き顔を鑑賞するのもいいが、後々面倒になるからやめておこう。
「ピアノ弾いてる神童を見てたんだ」
そう言ってやると。
神童は頬を真っ赤に染めて、目から涙を溢れさせながら一言、「ばか…!」と呟いた。
これも、小さい時からの神童の癖。
恥ずかしいことを言われたり言わされたりしたときも、かなりの確率で泣く。
「ごめんな、神童。もう1曲弾いてくれよ。今度はちゃんと聞いてるからさ」
「嫌だ…!」
「お願いするよ、できればショパンで」
「今度聞いていなかったら許さないから…!」
「はいはい」
それから、俺のお願いを断る事ができないのも、変わってない。
再び鍵盤の上で踊りだした神童の指を眺めながら、俺は小さい頃から変わらない、愛しい幼馴染のことを想った。



抹茶さまへ、蘭拓。
なんだこれ…!!
こんな駄文+短文で申し訳ありません。
これでもがんばっていつもお世話になっている抹茶さまへ感謝を込めて書きました。
文章は下手ですが蘭拓と抹茶さまと抹茶さまの書かれる小説への愛と感謝は十分にこもっている筈…!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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