「神童」
俺が名前を呼んだその声で、神童はやっと俺に気付いたようだった。
「霧野?何の用だ」
読んでいた本から目を上げ、俺を見る。
神童は綺麗だ。
不思議な色合いのふわふわした髪だとか、きめ細かい肌だとか、栗色の瞳だとか。
神童を構成する全てが、綺麗だ。
じっと見ていると、神童は僅かに頬を赤らめて俺に「何の用だ」ともう一度尋ねた。
かわいい。今すぐここで食べてしまいたい。
でもそんなことを神童に言えば、顔を真っ赤にして目をうっすら潤ませながら「霧野の馬鹿野郎っ!」って怒るに決まってるから。
そうは言わずに、代わりに「好きだよ、拓人」と言ってみる。

ああ、真っ赤になっちゃって。かわいいなぁ。

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