I can't tell you how I feel in a word...
『もしもし…不二クン?』これは何だろう。なぜ、電話越しに彼の声を聞くだけでこんなに胸が高鳴るんだろう。
「ああ、そうだよ...白石」
僕はいつもと同じ声を出せているだろうか?
『久しぶりやな、不二クン。彼とは…手塚クンとは仲良うやってる?』
「うん...そっちはどうなの?」『俺?俺と千歳はええ感じやで!』
「そっか、良かった」
ホントは良かったなんて思っていない。
千歳なんて九州に帰ってしまえばいい=\―これが僕の本音。
でも、この気持ちを白石や手塚に言ってはいけない、と僕の中にいる何かが警鐘を鳴らしている
。『ホンマに?』
だから、白石が発した言葉に僕はフリーズしてしまった。
『俺は不二クンが手塚クンと仲ええコト、気に入らんけどなぁ』
どういう、ことだ。
白石は千歳が好きなはずで、僕は手塚が好きなはず。
でも白石は僕と手塚が仲良くしてることが気に入らなくて、そして、僕は...
『嘘や』 戸惑う僕を無視して、白石はあっけらかんと言った。
『嘘やで、不二クン。俺は魅力的やから惚れてまう気持ちも分かるけどな』
浮気はあかんで、不二クン... その一言を残して、白石は挨拶もせずに電話を切った
。ツー、ツー、という電子音が、もう僕と白石は繋がっていないのだということを知らせる。
僕はそっと受話器を置いて、溜め息を吐いた。 僕と白石は、ただの友達であるはずだ。
白石には千歳という恋人がいるし、僕にも手塚という恋人がいる。でも……僕は君に、恋をせずにはいられない。
−END−