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「馬鹿野郎!」
部室に霧野の荒々しい怒声が響き、続いて部員たちが硬直した。
「そんな大事なこと、なんで言わなかったんだ!」
「言えるわけ、ないだろ…」
霧野の怒鳴り声に答えて神童の小声が聞こえたので、部員たちは肩からほっと力を抜いた。
顔こそ可愛らしく綺麗な霧野だが、その性格は相当男っぽい。
彼が怒ったときの迫力はサッカー部の誰よりも凄まじいのだ。
部員たちの中で、霧野の怒った時の形相は何よりも恐ろしいものとなっていた。
そんな鬼の形相を向けられて神童が耐えられるはずがない。
神童は目にいっぱい涙を溜めて霧野を縋るように見ていたが、霧野に強く睨まれるとついに泣き出してしまった。
「霧野…言い過ぎじゃないのか」
三国が一歩踏み出し、ついでに勇気も振り絞って霧野に言う。
が、「部外者は黙っててください!」と一蹴されてしまった。
「あー…何があったんだ…?」
「だからァ部外者は黙ってろ!」
相当気が立っているらしい霧野は、先輩に向かって命令口調で怒鳴ると、凄い勢いで部室を出て行った。
三国は呆然と立ち竦んでいる。
そんな時、部室の扉が開いて監督が入ってきた。
一瞬霧野が戻ってきたのかとびくりと肩を震わせた部員たちは、監督を見て一様にほっとした顔になった。
「おはようみんな!…あれ、神童…?」
戸惑った顔の監督に、速水が事情を説明する。
監督は速水の説明に納得した様子で頷いた。
「神童、元気出せよ!」
そう言って神童に近づき、ばんばんと肩を叩く。
「…はい…」
神童がふらりと立ち上がり、監督に引きずられるようにして外へ出て行った。
それに続いて倉間や速水、車田たちも出て行く。
そんな中、南沢は部室の中央で固まったまま動かない三国に気付いた。
「おい、三国…」
「霧野が…きりのが…」
うわごとのように"霧野"と繰り返す三国は、どうやら霧野に命令されたことが相当ショックだったようだ。
この神童と霧野の夫婦喧嘩の一番の被害者は、間違いなく三国であった。
新雷門イレブンでほのぼの(?)。
神童と霧野はほのぼのしてませんけどね!
被害者三国さん書きたかったんです(笑)