雨と傘


雨と傘

悠太side

オレは振られた
いや正確には 告白して振られたわけじゃなかった

見ちゃったんだ
彼女が祐希に告白するところを…

祐希はもともと女の子にモテた
でも 本人曰く付き合うのは「めんどくさい」らしい
それは その子も同じで祐希に振られていた
 振られた時の走り去っっていった彼女の事が忘れられない…


違うクラスの祐希が好きで 同じクラスのオレの事はなんとも思ってなかったんだ…
 同じ顔で同じ姿…
何故 オレじゃなくて 祐希なんだろう…


オレは初めて 祐希に嫉妬した




雨…か
 今日は茶道部で遅くなって 一人だ


「傘… どこだろ…」


まだ帰ってない人がいたようで 声がする方を見ると ミョウジさんがいた


「ミョウジさん どうしたの?」


「浅羽くん? 傘が盗まれちゃって…」


どうやら ミョウジさんの傘が盗まれてしまったらしい


「大丈夫? 傘入ってく? この時間なら 人も多くないだろうし…」


「いいの? でも悪いし…」


「別に… いいよ」

彼女と 二人で帰る口実が 欲しかった





彼女とオレは下校中 いろんな話をした
クラスの事 部活のこと

彼女はキラキラした笑顔で話してくれた

「あたしね 祐希くんに振られちゃったんだ… 何かあたしの事言ってた? 迷惑〜とか…」


「話してなかったよ」


「ダメ元だって分かってたけど やっぱりダメだった…」

彼女は 祐希の事を  うれしそうにそして切なそうに話す
祐希の事で頭がいっぱいの彼女を見てると無性に腹が立ってきた


「あのさ… 祐希くんって…」


「ゴメン わかんない」

彼女を突き放した
これ以上俺の前で祐希のことを話してほしくなかった

「オレさ ミョウジさんの事好きだよ…」

「…!」

返事がない


「ミョウジさん?」


振り返った彼女は泣いていた


「ゴメン… あたし一人で帰るから… ここまでありがとう…」


彼女は 雨の中 走って帰ってしまった


『「好き」といっただけなのに
    どうして君は そんな顔をするの?』



 ただ オレは… 君が好きなだけなのに…
         

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