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「キセキの世代なんかよりもおもしれーもんみつけたからな」
「…それって僕のことですか?」
「ああ」
なるほどわからん。
「つまりどういうことなんですか?」
「あ?あそこまで言ったのにまだわかんねーのかよ」
「いやいやいや!わかるわけないでしょう!?」
「はぁ。相変わらず鈍いなー」
いやいや、ため息つきたいのはむしろこっちだ。
ていうか"相変わらず"ってなんですか?
ほぼ初対面でしょーが!
「つまりこういうことだよ」
「へ?………っ!?」
僕が今されていることに気づいたのは、それからだいぶ経った頃だった。
「へ!?へぇぇ!?」
「うるせーな。キスの一つや二つで」
「いやいやいや気にしますよ!!フェースとキスなんですよ!?」
「ファーストキス気にしてるなんてお前は女子かよ」
そんなこと言われたって、まさかファーストキスが知らない男性となんて…。
僕だって仮にも男。やっぱり…。
「というより、いきなりキスされてもわかりません」
少し妄想してしまった…。
僕ってばなんて破廉恥な!!
その照れ隠しで話を戻すと、花宮から素っ頓狂な奇声とともに、ありえねーとの言葉が返ってきた。解せぬ。
「はぁ?なにがですか。失礼ですね」
ムスッと口をとがらせて花宮を見上げると、なぜだか花宮の顔が赤く染まった。
それから花宮はすぐに目線をそらして、咳払いをするとまた憎たらしい口を開いて語り始める。
「まだわかんねーのかよ。本当にとんだにぶちんだぜ」
「むぅ…」
「しょうがねーから、単刀直入にいってやる」
「だったら最初から言ってください」
「……今言うからいいだろ」
「はい。そうですね」
でも最初から言ってくれれば、僕のガラスハートはこんなにも傷つかなかったはずだ。
少しは反省してもらいたい。
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