「この部屋に洗濯機が置いてある。そしてむこうにはシャワールームがあるから、好きに使ってええで」

「はい。分かりました」


今黒子は今吉の案内によって、洗濯機が置いてある、所謂脱衣場のような部屋に来ていた。


「これ、全自動洗濯機ですか」

「ああ、せやな」


(高校になると、やっぱりいいものを用意するんですかね)


それでも高校生には普通のドラム式洗濯機でいいような気がしている黒子だった。


「そしてこっちの部屋が…」


そして今吉が、実は黒子が一番気になってた昭和を感じる横開きの扉を開ける。


「茶の間や」

「……………(なんでーー!?なんで茶の間があるんですか!?)」


そこには昔なつかし卓袱台があり、小さなキッチンと冷蔵庫、食器棚、テレビまで完備されている。

さすがにテレビは地デジの薄型テレビだ。
それだけが近代的で、昭和なこの部屋には不釣り合いな感じがした。


「ここも好きに使ってくれてええで。暇なときなんかはここで休んでくれてもかまへん。けど、仕事をさぼったらあかんで？」

「はい」

「あと、この押し入れの中には布団もはいってるから、それも好きに使ってくれてええで」

「…はい」


布団まで完備されているとは…、本当にここに住めそうだ。


(こんな部屋まであるなんて…。でもまあ好きに使っていいようですし、)


黒子は内心呆れるも、満更じゃなかった。