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つんざくような悲鳴がこだまして、わたしはやれやれとため息をついた。呪霊の返り血で服がべたついて気持ちがわるい。白いシーツのかかったふかふかのベッドを想像して、早く帰りたいな、と思う。

「ねえねえさえこ、チョコレート頂戴」
「……この状況わかってる?」

場違いな発言をする男の、物をくれとねだる両手をはたいた。狭くはない部屋にかつて生きていたものたちが転がり、血しぶきはそこかしこにへばり付いていて、さながら阿鼻叫喚の地獄絵図だ。けち、と悪態をつく悟に、頭がおかしいんじゃない、と言いかけて、呪術師がそもそもまともではないことを思い出した。そして、自分がその一員であることも。わたしはもう一度ため息をつく。

「帰ったら、買いにいくから」
「作ってほしいなあ」
「文句いうならあげない」
「さえこから貰えるならなんでも手づくりになるから。だから頂戴」

みっともなく縋りついてわけのわからないことを言い出した男を放って、わたしは帰る支度をはじめる。汚れてしまった上の服を脱ぎながら、悟はなにが好きだっただろうか、と考えた。