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「ふうん、それで、お前はおれにくれないっていうのかい?ペロリン」

大きな身体で、わたしが逃げないように道を阻む。こわいひとだと思う。一番恐ろしいのはビックマムだけれど、最も狡猾なのはたぶんペロスペローだ。

「いいえ、準備しようとは思ったの」

わたしはそっと両手を隠す。絆創膏だらけの手を見られれば、このひとは容易に理解するだろうから。普段なら言葉にしなくとも察してくれるのは助かるが、今はそれがとても嫌だった。
ペロスペローはいぶかしげに眉をひそめたあと、ならいい、と言う。

「代わりに、おれのキャンディ作りを手伝えよ」

彼の提案に疑問を抱きつつ、思わぬ形で簡単に引き下がってくれたことに胸をなでおろす。すると、なにかを思い出したかのようにペロスペローが振り返った。

「料理が下手なら、無理をしなくていい。かわりにこれからのバレンタインはおれを手伝え」

なにもかもお見通しなのね、と言うと、さえこのことならなんでも知ってるさ、とペロスペローは上機嫌に言う。このひとには敵わないな、とわたしは思った。