小説 | ナノ
アンブレラシンドローム


お天気お姉さんは嘘をついた。



ウソつき
ウソつき
ウソつき!!
今日は1日晴れるって言ってたのに!

雨なんて嫌い、
大っ嫌い!
雨なんてこの世界から消えちゃえばいいのに!

と、頭の中では大混乱のまま、私は昇降口で立ち尽くしている。

外は降りしきる雨。

来たときはお日さまが微笑み暖かかったのに、帰りになって急に雲が邪魔をし冷たい水を地面に落としている。

天気予報のおかげで唯一私の身を守ってくれる傘も無い。

不快感は増す一方だ。

せーてんまるさんはと言えば
『ハヤク現実ミテヌレテ帰レヨ!』

と言わんばかりの面持ちだ。


そんな時、


「おい、お前そんなところで何やってんだ?」

声を掛けてきたのは私の王子様、継先輩だった。
あまりのとっさの出来事に私は、

「雨が嫌いだったりします。」

と、訳のわからない事を口走ってしまった。

「雨?あぁ、そう言えば降ってたっけかぁ。晴れるって言ってたのにな。置き傘してたから良かったが…。そう言えばお前傘は…」

そんな問いに、

「傘も忘れてたりします。」
と、返した。

そうしたら継先輩は

「…なら一緒に入ってくか?」

なんて言うもんだから

「え?」

思考は停止状態。

会話に間が空いてしまった。


継先輩は何かを察したのか口を開いた。

「…嘘だよ。やるよこの傘。お前雨嫌いなんだろ?俺、図体でかいから2人も入ったらぬれちまうし。」

「え、でもっ、」

「ほら。じゃあな!」

そう言って傘を私に押し付け継先輩は雨の降りしきる中颯爽と校門を走り抜けていった。




*あとがき*

「あんまり関わったこと無い奴と相傘はさすがに嫌だよな。」
とか継なりに考えたんだと思います。

初の継家文でした!

家ちゃんの内面メルヘンな感じとか雨嫌い感を出そうと奮闘しましたが私の文章力では無理でした(^q^)

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