「皆!撮影会するぞ!!」

「「は?」」




ファンサービスもほどほどにver.イナズマジャパン




「…というわけで、写真撮るぞ」

「いや、どういうわけだよ。意味分からん」

円堂の急な台詞で始まった撮影会。その場にいたジャパンメンバーは、それに巻き込まれる形で参加することになった。

「管理人が言うには、大きいお姉さんへのファンサービスが足りないということなんだ」

「そこで、抱き枕とか人気あるしいんじゃね?ってことで、抱き枕の写真を撮ることになったんだ」

「それ、ただの管理人の自己満足じゃね?」

鬼道と佐久間の説明に綱海が突っ込んだ。が、二人は無視して機材の準備をし始める。

「で、誰を撮るんだ?」

豪炎寺の台詞に、皆が円堂を見る。円堂は一枚の紙を取り出すと、皆に見えるように掲げた。

「メンバー全員ってのは(見た目的にキツい奴もいるから)無理だから、中でも人気のある奴だけ撮るみたいなんだ!」

「今副音声が聞こえた気がするんだが」

「気のせいじゃないかな?」

「写真撮るメンバーはここに書いてあるからな!」

そう言われて、皆は円堂が持っている紙を覗き込む。そこに書かれていたメンバーは、
《吹雪、綱海、佐久間、緑川、立向居、鬼道、風丸、不動》
だった。
これを見た皆の反応は様々で。

「「不動!?」」

「お前ら、俺に失礼じゃねーか?」

「なんで円堂君がいないの!?」

「シメるぞビッチ」

「ああ、黒い円堂君もいい!」

「「(キモッ!)」」

…まぁ、そんなこんなで撮影会スタート!!






〈吹雪のターン〉

「ターンってなんだよ」

「細かいことは気にしない」

「じゃあ吹雪、ベッドに寝転がって」

「うん」

吹雪がベッドに寝転がったところで疑問が一つ浮かんだ。

「誰が撮るんだ?」

「俺がやる」

そう言ったのは鬼道だった。

「道具一式は最新のものを揃えた。不便は無いはずだ」

さすが鬼道財閥!という声が上がる中、撮影は始まった。

「…吹雪先輩って」

「結構堂々としてますよね」

「慣れてるって感じです!」

一年の会話が途切れた頃、吹雪の撮影が終わった。

「よし、次!」






〈綱海のターン〉

「綱海は腹チラ路線でいく」

「?おう!分かった!」

「じゃあ早速寝転がってくれ」

結構ノリノリな綱海と、てきぱきと進めていく鬼道。そんな二人を見た一同は。

「…綱海さんって」

「天然というか…」

「無知?鈍感?」

「そんなとこだろうな」

言われた通りにポーズをとる綱海は、ある意味滑稽だった。

「いいのが撮れたな。次!」






〈佐久間のターン〉

「綺麗に撮ってくださいね鬼道さん!」

「あ、あぁ、分かったから顔を近づけるな。鼻息が荒いぞ」

「鬼道さんに俺の全てを見てもらいたいんです!」

「分かったから早くベッドに行け」

「言い方が卑猥ですよ鬼道さん!そんなに堂々とヤろうとしなくても…!(ポッ」

「何故そうなる」

「聞いててイライラするな豪炎寺!」

「俺に振るな円堂」

佐久間が中々行こうとしないので、鬼道が無理矢理押し倒す感じで連れて行くと、佐久間が変な方向に暴走してしまい、撮影が中々始まらなかった。が。

カシャッ。

「…え?」

「早くしないと次の人が撮影出来ないでしょそれくらい分かるよねバカじゃないんだからさ」

ノンブレスで且つ黒い笑顔で言い切ったのは、片手に鬼道のカメラを持ったヒロトだった。
慣れた手つきでもう一枚写真を撮ると、鬼道へ投げ渡した。

「この写真なら普通に撮るより売れると思うからね」

「…!」

「佐久間を押し倒してる鬼道。大きいお姉さん大喜びだねww」

「…っこれは」

「次、行くよ?」

「……はい」






〈緑川のターン〉

「…緑川って」

「なんかピンとこないね」

「俺、地味?」

「「うん」」

「…俺、泣きそう」

キャラがよく分かっていない緑川は、最初からポーズに悩んでいた。こうだと言われれば、それは違うと却下され、これでどうだと言われても、なんか違うと却下されてしまう。そんな感じで延々と続く会話にも、ついに終止符が打たれた。

「だったらさ、緑川じゃなくてレーゼで見たらどうかな?」

「…どういう意味だ?吹雪」

「緑川で見るから難しいんじゃないかな?それだったらレーゼで見た方が簡単だと思うけど」

「なるほど。…よし、決まったぞ」

「レーゼで一発で決まるって…俺、どんだけキャラ薄いんだよ…」

「しかも、レーゼって俺が考えたキャラだよね」

「ヒロト…」

泣きそうな緑川をヒロトが慰める。

「早速始めるぞ!」

鬼道の掛け声で、再び撮影が始まった。驚くほどに順調に進み、あっという間に終わった。

「よし、次!」






〈立向居のターン〉

「よ、よろしくお願いします!!」

「そう緊張すんなって立向居!すぐ終わるからさ!」

「始めるぞ」

鬼道に指示を出され、素直に、ぎこちなく従う立向居を見て、一同は顔を寄せあって囁きだした。

「立向居って実力あるのに、いざという時に…なんと言うか…」

「緊張してダメになるってヤツ?うししっ」

「木暮君っ!」

「大丈夫っすかねぇ…」

「顔、真っ赤だぜ」

皆の心配を余所に、立向居の撮影は順調に終わった。

「思ったより上手く行ったな。よし、次!」






〈鬼道のターン〉

「……」

「逃げようとしても無駄ですよ鬼道さん」

無言で立ち去ろうとする鬼道の肩を、佐久間がガシッと掴む。鬼道は冷や汗をかき、佐久間は満面の笑みを浮かべていた。

「鬼道さんのあんな姿やこんな姿を見られる機会を俺が簡単に逃すとでも?」

「どんな姿だ!…とにかく、佐久間を部屋から追い出せ!カメラは他の奴に任せる!」

「なんで俺を追い出すんですか鬼道さん!」

「お前がいると身の危険を感じるからだ!」

鬼道は佐久間を無理矢理部屋から追い出すと、カメラを豪炎寺に渡した。

「頼む」

「ああ」

素直に受け取った豪炎寺は、早速カメラを構える。無駄にプロっぽいところが腹立つ。

「なんとか進みそうですね」

「なんで写真撮るだけでこんなに時間がかかるんだ…」

「このメンバーじゃ仕方ないと思うよ」

「はぁ…」

「撮れたぞ」

「ああ、すまない。次行くぞ!」






〈風丸のターン〉

「よろしく、鬼道」

「ああ。では早速…」

「上手く行きそうですね!」

「だといいんだが…」

撮影は思ったより順調に進み、次の人へ移ろうとした時だった。
円堂がいきなり倒れたのだ。
一同はビックリして、すぐ円堂に駆け寄ろうとしたが、誰よりも速かったのが風丸だった。

「円堂!大丈夫か!?」

「風丸…」

「しっかりしろ!すぐ医務室へ連れてってやるからな!」

そう言って、風丸は円堂を抱えると、医務室へ向かった。
でも、一同は見た。
円堂がほくそ笑んでいるのを。

「「(円堂が黒いっ!!)」」

「…やっぱり一波乱あるんですね」

「あー…ゴホン。次、行くぞ」

「あぁ…」






〈不動のターン〉

「よし、撮るぞ」

「顔と台詞が合ってないそ、鬼道」

「そんなに睨まなくてもいいじゃん鬼道クン」

「…よし、撮るぞ」

「だから顔怖いって鬼道!もっと笑顔で、な?」

「無理だ」

「即答!?」

一向に写真を撮ろうとしない鬼道に、苛立ちを募らせる者が一人。
その人は、鬼道からカメラを奪うと、不動の肩を掴んで押し倒し、カシャッと音を鳴らしてシャッターを押した。
全ては一瞬の出来事。不動も目を丸くして驚いている。
皆が唖然として見つめるその先には。

「練習時間も近いんだからさ、早く終わらせたいよね?監督に何言われるか分からないよ?」

吹雪がカメラを片手にニッコリと笑う。後ろに何か黒いものが見えたのは気のせいだ。

「ふ、吹雪…」

「これで撮影終わったんでしょ?」

「あ、ああ…」

「じゃあ練習行こうか。あと5分しかないからね」

「「……」」

一応指定されたメンバーは撮り終わったため、(吹雪の威圧もあって)練習へ向かうことになった。
円堂と風丸のことは、皆すっかり忘れていたので、監督に言われて迎えに行くのは、もう少し先のこと。
皆は心の中で、密かに抱き枕の完成を楽しみにしていた。






後日――

「みんなーっ!!抱き枕出来たぞーっ!!」

「「おお!」」

皆が目を輝かせて見つめるその先には、ついに完成した抱き枕があった。
各々がそれを楽しむ中で、やっぱり一部の人間は思考回路が違うらしく、所謂変態へと化していた。

「結構面白かったよな鬼道!」

「…そうだな」

「これ、フィディオ達もやるのかな?」

「…まさか」

「どうなるんだろうな!」

「…(嫌な予感…!)」


2010.08.02
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