幸福を感じて


私はイナズマジャパンのマネージャーをしている早希。
現在、エースストライカー豪炎寺修也とお付き合いさせて頂いております。




幸福を感じて




相変わらず、うんざりするような日本晴れ。まぁ、ここは日本ではないけれど。いつものように、ジャパンエリアのグラウンドで練習をしているイナズマジャパンを、他のマネージャーと一緒に見守る。
厳しい特訓に耐えて、日々成長していく彼らは、尊敬出来るくらいカッコいい。でも、私の目は自然と一人の人物に行ってしまう。
監督の一声で休憩に入った皆に、タオルやドリンクを差し出していく。
私は、彼氏である修也に、真っ先に手渡しに行った。

「修也!」

「早希。…ああ、ありがとう」

私の呼び掛けに、修也は微笑んで振り返ってくれた。私は笑顔でタオルとドリンクを差し出す。すぐに汗を拭き始める修也に、私は笑顔で話しかける。

「修也お疲れさま!格好良かったよ!」

「…ありがとう」

修也は汗を拭く手を止めると、少し俯いて、顔を微かに赤らめた。
ああもう!何その反応!可愛い!

「次はアメリカ戦だよね?残り時間も少ないし、頑張らないとね!」

「そうだな。アメリカ代表には一之瀬や土門もいるんだ。油断は出来ない」

そう言って真剣な目をする修也は、いつ見てもカッコいい。私が惚れたのも、そういうところだ。
また監督の声がかかって、休憩の終わりを告げる。
修也は一気にドリンクを飲み干すと、タオルと共に――慌てていたのだろう――少し乱暴に私に渡した。
修也は練習へ戻る為に去ろうとしたが、一瞬躊躇い、私のところへ戻って来た。
皆はもう集まり始めている。どうしたのだろうと、疑問符を頭に浮かべていると、急に顔を近付けて、私の耳元で囁いた。

「早希の為に、カッコいいシュートを決めてやる。しっかり見てろよ」

それだけ言って、去ってしまった修也の背中を、私は茫然と眺めていた。
きっと、私の今の顔は林檎のように真っ赤になっているだろう。
気恥ずかしさから下を向いてしまった私は、ボソッと呟いた。

「ひ、人目を気にしてよ…っ!」

周りをチラッと見ると、秋ちゃんや春奈ちゃんから温かい視線を送られていた。


2010.08.09

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