律04 | ナノ







プロポーズ大作戦



〜如月律の場合〜



幼馴染であり、兄のような存在だった如月律と付き合い始めてもう丸6年になる。お互い社会人になって、かなでとしてはそろそろいいかなあと思うのだが、なにせ相手が律なのでなかなか物事が進展しない。こうやって同棲をするだけでもかなでが社会人になるまでは駄目だと拒否され続けてきたのだ。頭の固い律は高い確率でかなでが一人前の社会人になるまではその言葉を言ってくれないかもしれない。

でももう6年だし・・・

言って欲しいなあとソファの上でごろごろしながら思っていると不意に頭上に陰がさした。見上げればぴんと背筋を伸ばした律が不思議そうな顔でかなでを見ている。
「調子が悪いのか?」
「ううん、違うの」
相変わらず見当違いな事をいう律にかなでは首を振って起き上がった。あけられたスペースに律は腰を下ろすとかなでの額に手をやる。
「うんうん唸っていたから調子が悪いのかと」
「はは、大丈夫だよ」
元気だけがとりえなんだからと笑っていうとまじめな顔でそんなことはないと否定される。
「かなでにはとりえがたくさんあるだろう?元気なこともそうだが他にもヴァイオリンの才能があるし、笑顔も可愛い」
「か、可愛い?」
普段はめったにそんな事を言わない律にかなでは目を丸くした。律君こそ調子が悪いんじゃないかと心配して額に左手を伸ばすと、その手を掴まれて律の膝の上に乗せられる。律は膝の上に乗せられた小さな細い手をじいっとみつめると、不意に薬指を指先で撫でた。くすぐったさにかなでがひゃぁと声を上げると、微かに笑みを作ってかなでに視線を戻す。
「もう、6年だな」
「え」
「付き合い始めて」
先ほどまで考えていたことを言い当てられてかなでは顔を真っ赤にした。

嘘、気付かれた?どうして

慌てふためくかなでに律は笑ってかなでの手を握り締める。
「結婚しよう」
「…ッ」
「駄目か?」
「だ、駄目じゃないっ私でいいの?」
待ち望んでいた言葉に戸惑いながらも頷いて問い返すと律が頷く。かなでは嬉しくなって律に飛びついた。
「うれしいっ律くんのお嫁さんになるの、小さい頃からの夢だったんだよ」
「そうか・・・俺もだ」
嬉さのあまり泣き出したかなでに律はそういって小さな体を抱きしめた。ひとしきりそうした後、ふとこんなに上手い話があるのだろうかとかなでの脳裏にささやかな疑問が浮かぶ。
「どうして私が思ったことがわかったの?」
そっと体を離してそう聞くと律は苦笑して口を開いた。
「かなでのいいところは感情が読みやすいところだ」
口に出ていた、といわれてかなでは別の意味でまた顔を真っ赤に染めた。


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