ハル02 | ナノ






いえろーぱれっと



※拍手再録


「どうしてハルくんは私を子供扱いするの?」
下校途中、かなでにそういわれてハルはえっと声をあげた。
夏の大会が終わり、はれて恋人同士となった二人だがまだ付き合いも浅いということで下校を一緒にしても手は繋がない。
ハルとしては少しくらい触れていたいと思うのだが、どうしても理性が邪魔をしてしまう。
対するかなでは自分に忠実なのか羞恥もなくハルの手をとろうとした。
それが恥ずかしくて、慌てて手を引っ込めるとかなでが悲しそうな顔をする。ああ、何かいい言い訳はないだろうか
普段そっちの方面では滅多に働かない頭を動かして、でた言葉が
「繋がなくても歩けるでしょう?先輩は子供じゃないんだから」
そして、冒頭の台詞というわけである。
かなでの言葉にハルは珍しくうろたえた。今にも泣き出しそうな顔のかなでは、小さな手をぎゅっと握りしめて震えている。
溢れ出した感情をどうにかやり過ごそうと堪えているようだ。ハルはしばらくうろたえたあと、かなでを伴って近くの公園に向かった。まだ日は長いとはいえ、学生の帰宅時間には公園の人影もまばらだ。空いていたベンチにかなでだけを座らせて、自身は少女の目の前にしゃがみ込む。俯いてしまったかなでと無理矢理目をあわせると、そっと膝の上に置かれた小さな握り拳に触れた。
「嫌なら触らなくていい」
私は子供じゃないから手なんか繋がなくても平気だといいはるかなでにハルは罪悪感で一杯になった。

僕がもう少し大人だったらきっと先輩を悲しませることなんてなかったのに

そう後悔して、後悔先にたたずという言葉を思い出す。先達の言葉は正しい。ハルが大人じゃないのも、気持ちに素直になれないのも今更どうしようもないことだ。
強張って震える小さな拳を両手で包み込んでハルは願うように自分の額にそれを押し付けた。
「先輩が子供なんじゃなくて、僕が子供なんです」
正直になれなくて、弱虫を必死で繕っている子供なんですと言葉を続ける。かなではきょとんとして目を丸く見開いた。
「ハルくん、子供なの?」
「そうですよ、だから恥ずかしくて先輩にひどいことをいってしまいました」
許してくれませんかと問うと、かなではうーんと唸ってそれからあいている手で涙を拭った。
「今回は特別に許してあげます」
へへっと子供みたいに笑って、涙で赤くなった目を笑顔の形に歪ませる。

泣いてたカラスがもう笑う
ふと、そんなことを思い付いて、やっぱり先輩も子供かもと呟くとやっぱり許しませんと怒られた。






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