土岐09 | ナノ






チョコ・DE・ぱにっく




〜土岐蓬生の場合〜


※拍手再録


「もう、チョコあげないっ」
かなでの言葉に土岐蓬生ははぁっとため息をついた。今日は恋人達の記念日、バレンタイン。チョコレート会社の戦略だろうが、大好きな人から気持ちの篭ったプレゼントを受け取るのは嬉しいものだ。
そう思って、蓬生はかなでにチョコレートを用意した。日本では女性から男性に贈るのが一般的なバレンタインだが、蓬生にしてみれば好きという気持ちを贈るのに男も女もない。
だからこそ、よかれと思ってしたのだが。

よかれと思うのとええことは別もんなんやな…

目の前でヘソを曲げてしまった年下の恋人に蓬生はまたため息をつく。怒った理由は単純明快。彼女は蓬生のプレゼントが気に入らないのだ。
かなでは蓬生からのプレゼントを見るなりヘソを曲げてしまった。
「酷い、酷すぎです蓬生さん」
「そやかて、この日まで必死に考えて選んだのやから」
食べて、というとかなではううっと唸った。彼女の手の中には非常に可愛らしい妖精の形をしたチョコが乗っている。
「こ、こんな可愛いの食べれる訳ないじゃないですか」
「そやかて、それ食べもんやから」
食べんほうが可哀相とちゃうの、といわれかなではまたううっと小さく唸った。
蓬生が正しいのはかなでだってわかっている。チョコは食べるものだ。決して観賞物ではない。かなでだって相手がただのチョコならすぐに口に入れられたのだ。だが、問題はこのフォルム。かなでの庇護欲をさそうような愛らしい二つの目に見つめられれば、食べるなんてそんなこと出来るはずもない。
「ふ、普通のだったらよかったのに」
「でも小日向ちゃん、そういうの好きやろ?」
考えたんやで、と上目遣いに言われかなでは蓬生とチョコを見比べた。
だが、やはり食べれない。
困り果てたかなでを見て、蓬生はやれやれと息を吐く。

こうなったら最終手段や

かなでの手の上のチョコを掴むと蓬生は自分の口にそれを放り込んだ。
「あ」
びっくりして目を丸くしたかなでにチョコを含んだままキスをする。
唇をこじ開ける為に舌を捩込めば、甘い味が唾液と混じってさらに甘さを増した様な気がした。
口内の甘さをそのまま暫く堪能し、蓬生は唇を離す。

これで一件落着や

そう思ってかなでをみると、何故か涙目の彼女と目があった。
「た、たべちゃうなんて酷いっ蓬生さんの馬鹿ぁ!」
顔を真っ赤にして怒る彼女に蓬生は慌ててかなでを宥めるしかなかった。





結論
可愛すぎるチョコは食べれない。でも他人に食べられたらそれはそれでショック。

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