律05 | ナノ






チョコ・DE・ぱにっく




〜如月律の場合〜


※拍手再録



「チョコなんてあげないっ」
冬の放課後。唐突なかなでの台詞に如月律は目を丸くした。
チョコ?と不思議そうに首を傾げる。
今話している内容とお菓子は全く関係がない。
ただ、2月14日の放課後の予定を聞かれただけだが、生憎律はクラスの女子生徒数名に呼び出しを受けている。
先約があるから無理だと言った瞬間、かなでは顔を強張らせて前述の発言をした。
「何故そこでチョコが出てくる…腹が減っているのか?」
律がそう尋ねるとかなでは目を見開いて口をぱくぱくさせた。何か言いたいことがあるらしいが、声にならないらしい。
そんなに腹が減っているのかと律は制服のポケットを探った。
ポケットには昨日クラスメイトの女子から何故か押し付けられたチョコの包みが入っている。

よかった、溶けていない

律はチョコを包みから取り出してかなでの口に押し込んだ。
びっくりしたのか、かなでは大きな目を更に見開く。
「美味いか?」
「………っ!!」
尋ねると一気にかなでの顔が赤く染まった。涙目で口の中のチョコを嚥下すると、きっと目の前の律を睨みつける。
「律くんなんかっだいっきらい」
唐変木の朴念仁、とまで罵られて律は眉を顰た。
「何故怒る」
「怒るにきまってるもん…っ律くんのばかぁ」
とうとう子供の様にえんえんと声をあげて泣き出したかなでに律は慌てた。
必死で頭を回転させて、理由を探すが見つからない。

月経間近の情緒不安定というやつか?
いや、そんな時期ではなかったはず

あらゆる可能性を考えたが、原因が見つからない。
当惑しながらもよしよし、泣くな。俺が悪かったとかなでをあやすと、すぐ後ろでいつからそこにいたのか榊大地がうんざりした声を上げた。
「はぁ……律、2/14は何の日だ?」
「何の…日?」
そこに何か手がかりがあるのか?必死に律は考える。
2/14…2/14…にがつじゅうよっか…

「バレンタインか」
漸く自分のしでかした失態に気づき、律は彼にしては珍しく大慌てでかなでを慰めはじめた。

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