この温かさが そりゃあね、仕事してる修のこと嫌いじゃないのよ。 こう、さ。顔はいつもより険しくなるけど、なんかこう…精悍っていうか……ね。 ちょっとそんな呆けた顔しないでよ、熱は無いったら!それにどこも打ってません、頭を探らないで! で、そういう訳だから仕事は今まで通りやってくれて構わないんだけど。『仕事と私、どっちが大事なの!?』とか言いたくないし。私が言いたいのは、えっと、ね、あのー…。 …は?…あのねぇ修、関口さんみたいっていうの悪口で使っちゃ駄目でしょ。っていうか私にも失礼…何でもないわ。 修、真面目に話してるんだからちゃんと聞いてよね。今煙草吸わない! 話戻すけど、仕事はして、むしろ働いてください。無職とか困るわ。 でもね、あー、あれ。 仕事ばっかりって体に悪いし。たまにはこうやって寛いで休んで欲しいわけ。 そこでよ。たまにある休みにさ、その、私のこともちょっとは考えてっていうか…。えっと、だからね、最近ずっと仕事で帰って来なかったでしょ。帰ってきても夜中とかで。それで私はつまらなかったっていうか、その…一人ぼっちで、えーっとね。 「ぐだぐだうるせぇよ、馬鹿」 「なっ!?」 「つまりこういうことだろうが」 そう言った修はひょいと私を抱え上げ膝に座らせる。煙草を灰皿で押しつぶし、背中に両腕を回された。 「寂しかったからこうしたい、って初めから言えばいいじゃねえか」 感じる体温はすごく懐かしくて、意図せず涙腺が緩みそうになる。それを知ってか知らずか、修は子供をあやすようにぽん、ぽんと一定のリズムで背中を叩いた。 「ごめんね」 「謝ることじゃねえよ」 「…うん、ありがと」 こちらからもと首に腕を絡めれば、同じように強く抱きしめてくれる。 ちらりと見えた赤い耳は、黙っておいてあげよう。 きっと私も同じように赤いに違いないから。 この温かさが ← |