小説 | ナノ


春が来たようです



「暖かくなるとおかしな人が出るって言いますよね」

「まぁな」

「じゃあ春に榎さんは何になるんです?」

「神は神だッ」

「嘘ばっかり」

「嘘じゃないさ、僕に誓って」

「じゃあ寒くなれば変人は常人に戻る?」

「そもそも名前は間違ってる」

「何が」

「暖かさが人を惑わすんじゃない。人が暖かさを惑わすんだ」

「罪な人」

「今の君のように」

「私って暖かい?」

「どっちかっていうと明るい」

「あ、電球切れてるの思い出した」

「僕を無視するなよ」

「ごめんごめん。今日は何食べるかって話だっけ」

「夕飯は肉じゃががいい」

「了解。じゃあ買い物行ってきます」

「人には注意するんだゾ」

「大丈夫、私、明るいから」






あっちもこっちも
 (罪人で溢れてる)






電波になりきれない電波。