変わらない新年
新年を迎え、着物を着せられたつばさは初詣を終え帰宅をすると。
例年なら一緒に初詣に行く幼馴染みの家を、訪ねた。
今年は珍しく別行動になり、元旦の午後に行く事は予め約束をしていたのだ。
「あけまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
型通りの挨拶をして、目的の部屋に行けば。
部屋の主は自室にて寛いで居た。
「あけましておめでとう、蓮ちゃん。今年も面倒お掛けします」
「あけましておめでとう、つばさ。今年も面倒を掛けられるよ」
笑って言い合い、手招きすれば室内に足を踏み入れる。
未だに着物のままであるつばさは、実は自分で着物を脱ぐ事が苦手である。最も脱ぐ事だけではなく、着る事もであるが。
「蓮ちゃん、脱がせてー」
「着替えてから来ればいいものを」
「いいじゃんー、蓮ちゃんに脱がせて貰いたいの。あと、ジャージ貸して。シャツでもいいけど」
「着替えは持って来てあるんだろう?」
「そうだけど、昼寝するには寝にくいもん」
にっこりと笑顔で言えば、両手を広げて柳の前に立つ。
脱がせて貰える事が当然とばかりのつばさに、思わず微苦笑を漏らすが、立ち上がるとつばさの着物に手を掛けて一つずつ脱がせていく。
脱がされる間、大人しくしてはいるが口だけは動かしつづけるつばさは、他愛もない話を飽きる事なく続ける。
全てを脱ぎ終えると、手渡されたジャージを羽織り柳のベッドにもぞもぞと潜り込む。
脱いだ着物を丁寧に畳み、その隣りに柳も潜り込めば抱き付いて来るつばさを抱き締める。
「それにしても、つばさには恥じらいはないのか?」
「今更じゃない?それに、蓮ちゃんが何かするなんて思ってないし」
クスリと微笑み真っ直ぐに柳を見つめる。
そんなつばさに微苦笑を浮かべ、柳はつばさの額に一つキスを落とし。
「おやすみ、つばさ」
「おやすみ、蓮ちゃん」
2人は眠りに就く。
元旦の午後、静けさが2人を包み込む。

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