挑発
「つばさ」
「んむー?」
「いい加減、人の部屋で寛ぐのを止めないか」
金曜日、部活を終えて帰宅してみれば。
玄関先の靴で予想していた通り、柳の自室ではベッドに寝そべって本を読む幼馴染みのつばさの姿。
柳の言葉に、チラリと視線を向けるが直ぐに本に戻すと。
「何で?」
聞き返す。
鞄を床に置き、柳はベッド端に腰を掛けると。つばさの手から本を取り上げ、クルリと向きを変えさせると静かに見下ろす。
突然の事に驚きながらも、つばさは静かに幼馴染みの柳を見上げる。
「こういう事をされても、文句は言えないぞ?」
頬を撫で、唇に指を這わせる。
ぞくり。つばさは、震えながらも這う指をカプリと噛む。
そうして、蠱惑的な視線を向けると。
「こういう事って、何?私は、ずっと蓮ちゃんが好きだよ。幼馴染みとしてじゃなくって、1人の男性として蓮ちゃんを見てる。だから、此処に来てるんじゃない。蓮ちゃんの意思が何処にあるのか分からないんだもの」
腕を伸ばして、柳の頬をそっと撫でるとつばさは自分の方に柳を引き寄せる。
唇が触れるぐらいに顔を近付けると。
「で、蓮ちゃんの答えは何処にあるのかしら?」
にっこり微笑んで、挑発をする。

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