甘美なお仕置き
その日最後の授業は、視聴覚室でのビデオ鑑賞だった。
薄暗い室内。
快適な室内温度。
1日最後の授業という事もあってか、つばさは気が緩んだのかうつらうつらと前を向いたまま舟を漕ぎ始めた。
ガクンと、首が下がった事で一気に覚醒する。
慌てて周囲を見回せば、隣りに座る柳と目が合う。
「居眠りとは、いけないな」
「あ……」
耳元にわざわざ口を寄せ、低く囁く。
他意はないと、分かっていても否応なしにピクリと身体が震える。
「まだ、残り時間30分はあるぞ。居眠りをした罰として、仕置きが必要だな」
「蓮二?!」
楽しそうな声が、囁く。
長い指が、スルリとスカートを撫で太股に直に触れる。
「んっ!」
「つばさ、声は我慢しろ。気が付かれるぞ?」
「な、なら。止めてよ……」
「仕置き。と、言った筈だが?」
楽しそうな声は、止めるつもりがないと告げてくる。
幸い、一番後ろに陣取り。
誰も気が付く様子はない。
唇を噛み締め、声を漏らすまいと必死に耐える。
耐えるが、それが面白くないとばかりに執拗に攻め立てられる。
声が零れ落ちそうになり、ネクタイを銜えて堪える。
「ほぅ………」
感心したように、耳元で息を吐かれ。
それすらも、反応してしまう。
止まる事を知らない指は、遊び続ける。
必死に堪える姿を楽しむ柳を睨み付けたいのに、それも出来ない。
そうしてチャイムが鳴り響く直前。
ようやく指が離れ、息を大きく吐き出す。
「今日、家に寄るよな?」
「?!!」
「拒否権はないが」
綺麗な笑みを浮かべ、立ち上がる蓮二を見上げるしか出来なかった。

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