静かな夜
「れんちゃーん……、どうやら寝ているようだ」
帰って来るなり、ソファーに座ったかと思えばいつの間にか眠ってしまっている。
明日は休みで、寝るのならベッドがいいに決まっているのだが。
外されたネクタイと、放られたスーツを綺麗にハンガーに掛けて。
寝室から持ってきた毛布を掛けてやる。
滅多に見る事のない柳の寝顔をなんとなく、つばさは眺める。
「睫毛長いな〜、髪サラサラだし。ああ、でも……疲れてるんだな〜……」
しばらく見続けていたが、ソファーからそっと立ち上がりダイニングに移動すると。
淹れた紅茶を飲みながら、静かに読書をする。
夕飯の支度は終わっていて、いつでも食べられるが。
折角眠っているのを起こすのは、忍びない。
夜の静けさに、健やかな柳の寝息だけが聞こえる。
そんな夜。

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