「ん〜・・・」
「つばさ、コレはどうだ?」
「ぅ、可愛い」
「こっちも、良いのではないか?」
天気のいい休日。
2人で買い物に出掛けた先は、都内のジュエリーショップ。
結婚する事が決まって、式は内輪でこじんまりとと決めていて。
後は、入籍の日取りを決めて。などと考える中で、指輪を買いに行こうとなって、2人で来たものの。
シンプルながらも可愛いデザインが多い為に、つばさは選ぶのに迷っていた。
「ホラ、コレはどうだ?」
「れ、蓮ちゃん・・・」
色々とつばさの好みを考慮した上で薦める柳に、若干恨めがましい視線を送れば。
笑いながら、頭を撫でると。
「コレが、良いのではないか?つばさの好みにも合い、似合うぞ」
「本当?」
「ああ、本当だ」
柳の示す一つに、つばさは再び視線を向けると頷く。
そんなつばさの頭を撫で、店員を呼び選んだ品を告げる。
対になる柳のは、酷くシンプルで。だが、シンプルだからこそ飽きが来ないデザインで付けていても違和感がないモノであった。
「良い買い物だったな」
「ね〜」
手を繋ぎ、店を出る。
出来上がるまで、時間が掛かるが。
それでも、お互いに納得のいくモノを見つけて購入が出来た。
「結婚、するんだね〜」
「どうした、急に」
「ん〜。だって、ずっと一緒に暮らしてるでしょう?だから、実感が沸かないっていうか。でも、こうやって指輪を買ったりして。ああ、本当に結婚するんだな〜って。これからも、よろしくお願いします、旦那様」
「ふっ、こちらこそよろしく奥さん」
 見詰めあい、笑い合って暖かな陽射しの中。
2人は、歩く。
手を繋いで、幸せな笑みを浮かべて。


2人の薬指には、お揃いの指輪。
奇しくも、クリスマスに完成したその指輪は、輝きを放ちながら互いの指を飾る。
「えへへ」
「どうした、つばさ」
「ん〜、幸せだな〜って」
柳の膝の上、指輪を眺めて嬉しそうにはにかむ。
シンプルだが、揃いの指輪が互いの指に嵌められており。
それが、つばさに『結婚』という実感を与える。
付き合ってから、もう何年も経つのに。
互いを想う気持ちは、色褪せる事がない。
指輪を眺めていたつばさは、不意に顔を上げると。
「んっ」
顔を上げたタイミングで、キスをする柳。
言葉にしなくても、呼吸音で空気で。
何を求めているのか、理解をする。
「大好き」
「俺も好きだ。愛らしいな」
「・・・愛らしい?」
「ああ、愛らしい」
はにかむように告げれば、髪を優しく梳くように撫でながら柳が言えば。
きょとんと、見詰め返すつばさ。
「そんなの、蓮ちゃんしか言わないよ?」
「・・・当たり前だろう」
「ん?」
「俺以外が、つばさに言うのは許さない」
「そうなの?」
「ああ」
「・・・嫉妬?」
考えて言えば、つばさを抱き上げ寝室へ向かう柳。
驚き、その身体に抱き付くつばさ。
そうして顔を見合わせて、2人笑うその指に光のは幸せの証。

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