ウツギ
「ねぇ、ねぇ、蓮ちゃん」
「どうした、つばさ」
目を輝かせながら、近付いてくるのは一つ年下の恋人であるつばさ。
小さな身体に、大きな瞳。
好奇心旺盛なつばさは、瞳を輝かせながら近付いて来た。
「空木って知ってる?」
「ウツギ?」
「うん、そう。空の木って、書いてウツギ。または、卯の花でもいいんだけど」
「ああ、空木か」
「知ってる?」
「ああ、知ってるぞ」
さすがだね〜。というのほほんとした声を聞きながら。
当然のように、膝の上に座るつばさの髪を撫で。
続きを促す。
「じゃあさ、その空木が蓮ちゃんの誕生日花ってのは?」
「誕生日花?」
「そうそう。誕生日ごとにね、花があるの。花言葉って、知ってる?」
つばさの言葉に、首を横に振れば。
にっこり笑って、そっと耳に囁かれる。
「古風・風情・秘密だって。ピッタリじゃない?」
「そうか?」
「うん。古風だし、風情があるし。あ、でも秘密ってなんだろう?」
腕組をして、真剣に考え込むつばさに笑い声をあげるのは柳。
そんな事を真剣に考えるつばさが、可愛くて仕方がないのは、それこそ柳だけの秘密であろう。

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