「そっちばっかりずるい!…頭なでさせて」
圧倒的な、身長差。 その差、35cm。 優しい手付きで、頭を撫でられるのは日常茶飯事。 それがイヤだとか、思った事は一度もない。 ないけれども、言いたくなってしまう。 「そっちばっかりずるい!・・・・・・私にも、頭なでさせて」 つばさの言葉に、一瞬驚いた表情を見せたものの。 柳は手を下ろした。 その事を、一瞬寂しく感じながらも。 つばさは、ワクワクと柳のサラサラの髪に手を伸ばす。 全体的に小柄なつばさは、当然ながら手も小さい。 小さな、子供のような手で柳の頭を撫でる。 そっと、優しく慈しむように。 「フッ。何だか、くすぐったいな」 「そう?ふふふ、でも私はこうやって蓮ちゃんの頭を撫でられて、幸せ」 「そうか」 「うん」 撫でる手はそのままに、視線を合わせてにっこり微笑む。 そんなつばさに、柳は腕を伸ばしてつばさの身体を引き寄せて、自分の膝の上に座らせる。 驚くつばさの額に、キスを落として。 「だが、つばさは俺が撫でるのを辞めた事を、寂しく思っただろう?」 「え?」 「だから、俺が撫でてやろう」 「ええっと・・・」 「イヤか?」 「ううん、イヤじゃないです」 柳の言葉に、即座に首を振って否定をする。 優しい手に撫でられ、気持ち良さそうに目を細めるつばさ。 たまには、撫でるのもいいが。 やはり、撫でられる方が好きかもしれない。と、心の奥でつばさは呟いた。[ 31/53 ]← →
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