「そっちばっかりずるい!…頭なでさせて」

圧倒的な、身長差。
その差、35cm。
優しい手付きで、頭を撫でられるのは日常茶飯事。
それがイヤだとか、思った事は一度もない。
ないけれども、言いたくなってしまう。
「そっちばっかりずるい!・・・・・・私にも、頭なでさせて」
つばさの言葉に、一瞬驚いた表情を見せたものの。
柳は手を下ろした。
その事を、一瞬寂しく感じながらも。
つばさは、ワクワクと柳のサラサラの髪に手を伸ばす。
全体的に小柄なつばさは、当然ながら手も小さい。
小さな、子供のような手で柳の頭を撫でる。
そっと、優しく慈しむように。
「フッ。何だか、くすぐったいな」
「そう?ふふふ、でも私はこうやって蓮ちゃんの頭を撫でられて、幸せ」
「そうか」
「うん」
撫でる手はそのままに、視線を合わせてにっこり微笑む。
そんなつばさに、柳は腕を伸ばしてつばさの身体を引き寄せて、自分の膝の上に座らせる。
驚くつばさの額に、キスを落として。
「だが、つばさは俺が撫でるのを辞めた事を、寂しく思っただろう?」
「え?」
「だから、俺が撫でてやろう」
「ええっと・・・」
「イヤか?」
「ううん、イヤじゃないです」
柳の言葉に、即座に首を振って否定をする。
優しい手に撫でられ、気持ち良さそうに目を細めるつばさ。
たまには、撫でるのもいいが。
やはり、撫でられる方が好きかもしれない。と、心の奥でつばさは呟いた。

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