「おいで」とその目に導かれ

休日は、大体がテニスで潰れる。
それでも、特に気にした事はない。
柳の部屋は、日当たりが良く微睡むには最適。
和室の部屋は、庭に面していて窓を開けると柔らかな風が入り込む。
つばさは、縁側に座り。
庭先を、ぼんやりと眺める。
部屋では、柳が机に向かっている。
何をするでもなく、つばさはぼんやりしながら眠気と戦っていた。
ヒマ、ヒマすぎる。
暖かい、眠い、寝ようかな?
脳内に浮かぶのは、単語。
「つばさ」
眠ってしまおうか、そう思った瞬間柔らかな声に呼ばれる。
振り向けば、涼やかな瞳が開かれ真っ直ぐに見つめられる。
「おいで」とその目に、導かれ。フラフラと柳に、吸い寄せられるように近付けば、腕を引かれて抱き締められる。
暖かな腕に、安堵の息を漏らす。
髪を撫でられ、背中を軽く叩かれる。
まるで、それが合図かのようにつばさは眠りに就く。
眠るつばさの額にキスを一つ落とし、満足そうに息を吐く柳。
つばさが眠りに就くのも、起こすのも自分がしたい。
そんな想いに囚われ、柳は眠るつばさを愛おしそうに眺める。

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