遊園地
「それで、どうだった?」
腕を組み、長い脚をもて余し気味に組むその姿は、見惚れるモノがある。
生憎表情は、逆行により見えない。
見えないけれど、愉しそうに笑っているのだけは、わかる。
「え?」
突然の問いに、驚いた声を上げれば。
静かに、答えが返って来る。
「堅物な俺が、遊園地に行って観覧車に乗って甘い雰囲気を出すのか。知りたかったのだろう、つばさ?」
そう言う口元が、笑っている事から。
つばさは、先刻の事を思い出す。
久しぶりのデートで、行き先を遊園地に指定したのは、つばさ自身。
所謂、恋人同士の語らいなど。
柳には期待をしていなかった。
遊園地でのデートも、アッサリしたモノだと思っていたのだが。
予想に反して、柳は優雅につばさをエスコートして、つばさの予想ばかりを裏切り続けていた。
何よりも、最後の極めつけは先刻まで乗っていた観覧車。
普段なら言わないであろう甘い言葉の数々に、優しい指先が触れて………。
「ふむ。思い出して、紅くなるようではまだまだだな」
「………もしかして」
「ワザとか?と、お前は聞く。別にワザとではないよ」
「え?」
「俺とて、男だからな。それに、弦一郎ほど堅物ではない。何か勘違いをしていたようだからな。本日は、その訂正をさせて貰っただけだ」
ニコリと微笑み、優雅に珈琲を飲む。
この男は間違いなく、性格が悪い。
けれど、悔しいぐらいにこちらの望みを自然と叶えてくれたりする。
「さて、改めて質問だ。本日のデート、つばさは満足してくれたか?」
「満足しました」
「それは良かった」
やはり、柔らかな笑みと共に言う柳に。
つばさは勝てない事を悟った。

[ 46/53 ]

TOP


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -