甘え
「ん・・・んぅ〜・・・」
「おはよう、つばさ」
「・・・はよう、蓮ちゃん」
柔らかな陽射しが差し込む室内。
眠りから覚めたつばさの視界に入るのは、柳。
涼しい表情をして、参謀の呼び名に相応しく冷静沈着な男。
が、事つばさに関しては別になり。
独占欲が強く、嫉妬深い。
つばさの全てを独占して、他に興味を向けさせたくない程に。
朝起こして、夜寝かす。
ご飯の用意をして、着替えを手伝い。
風呂にも一緒に入って、洗って拭いて乾かして。
とにかく、何もかもしたい柳。
甘えられるのが、何よりも嬉しく。
構いたくて仕方がない。
ある朝、うっかり柳よりも先に目が覚めて。
飼い猫のレンを構っていたつばさは、不機嫌になった柳の機嫌を戻すのに苦労した程に。
「蓮ちゃ、お腹空いた・・・」
「何が、食べたい?」
「ホットケーキ」
柳に擦り寄りながら、甘えるように強請る。
そうすれば、柳は嬉しそうにつばさを甘やかす。
キスを1つ落とし、つばさを抱き上げ寝室からリビングへ。
ソファーに座らせ、頭を撫でてキッチンへ。
その後ろ姿を見送り、つばさは足元にやって来た猫のレンを抱き上げ、構う。
「おはよ、レン」
朝の挨拶を交わして、鼻にキス。
一鳴きするレンの首回りを撫でながら、リクエストしたホットケーキが焼けるのを、大人しく待つ。
窓から差し込む陽射しは、暖かく春が近い事を告げる。
休みの日は、穏やかな朝がゆっくりと開ける。
「蓮ちゃん、ご飯食べたらレンを連れてお散歩行こう?」
「ああ、いいぞ。弁当を持って行くか?」
「うん。あ、一緒に作る」
甘えれば、甘えるだけ機嫌が良くなる。
出会った時から、ずっと甘えて甘えられてな関係。
傍から見れば可笑しいのかもしれないが、それが二人の関係。

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