君と初めて出会った日
 入部当時から、No1になると豪語する切原赤也。
 明るく屈託のない赤也は、クラスでもそのままの性格故に友達が多く、その1人につばさが居た。
「バカ也!プリント、出し忘れてる!!」
「ゲッ、ヤベ。ちょ、待てつばさ」
「自分で出してよ。もう、みんなの出して来たもん」
「マジ?終わってねーし」
「知らな〜い」
 フェンスを挟んで、そんなやり取りをする2人は仲が良く。
 ともすれば、初々しい恋人同士にも見える。
「つばさ、また廊下を走っておったであろう」
「うげ、真田」
「お前な、先輩を付けんか」
「真田・・・先輩?どーもすいやせんでした〜」
 赤也と一緒に居る事が多いつばさは、厳格が故に真田に怒られる事が多く。
 しかし、怒られても凹む事なく再び赤也と共に騒ぎ一緒に居る事が多い。
 全く持って、見ていて飽きない。
 コロコロと変わる表情。
 屈託のない明るい性格。
 読みやすい行動と思いきや、予想外の行動をしたりする。

「や〜なぎ先輩。難しい顔して、なぁ〜に考えてるんですか?」
 ヒョッコリ顔を出すのは、件のつばさ。
 頭を撫でれば、嬉しそうに笑う。
 人懐っこい性格なのであろう。
「難しい顔をしていたか?」
「してましたよ〜」
 あまり表情が変わらないので、感情表現が解り難いと言われる事は多々あるが、表情について指摘されるとは思いもしなかった。
 初めて会ったのは、テニスコート。
 それ以降も、ほとんどがテニスコートばかり。
 手に入れるには、あともう少し。

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