2. 膝枕も抱き枕も僕のもの

 膝を貸してうたた寝をする幼馴染みを見ている内に、いつの間にか寝てしまっていたらしく。
 眠りから目を覚ませば、温もりに包まれている事に気が付く。
「起きたか?つばさ」
「うー?」
 目を擦り見上げれば、間近に蓮二の顔。
 いつの間にか、蓮二のベッドで蓮二に抱き締められて寝ていたようだ。
「なんで私は抱き締められているの?」
「何か問題でもあるのか?」
「問題というか、抱き締める事はないでしょう?」
 不思議そうな表情をする相手に、思わず溜息を吐きながら言えば何故と視線で問われる。
 頭がいい筈のこの幼馴染みは、時折言葉が通じない事がある。
 否、通じないフリなのかもしれないが。
 幼馴染みでしかない私たちの関係は、年を重ねる事に距離が空く筈なのに何故か縮まっていくだけで。
「そもそも、この年になってまでこんな風にして一緒に寝るのって恋人同士じゃない幼馴染みはしないと思うけど?」
 抱き締められた状態で、頭を撫でられながら小さく溜息を吐きながら抗議すれば。
 変わらぬ優しい手付きで頭を撫でる事を止めずに、つばさの抗議に小さく笑うと蓮二は静かに答える。
「世間がどうかは知らないが、俺はつばさを抱き締めて寝たい。つばさを抱き枕にしていいのも、つばさの膝枕も全て俺だけのだろう?」
 それがさも当然のように言う蓮二に、つばさは唖然とする。
 返す言葉が見付からず、口を開閉していると。
「フッ、マヌケな顔になっているぞ?」
「誰がさせてるのよ!」
「煩い。夕飯までまだ時間がある、もう少し休め」
「これ以上寝たら夜寝れなくなるでしょう」
「部活があったりで、こんな時間は滅多にない。たまには、つばさの前でくらいは自堕落になってもいいだろう」
「……おやすみ、蓮ちゃん。ココに居るから、ゆっくり休んで」
 蓮二の言葉を聞き、溜息を吐きながらもそっと抱き締め擦り寄って言えば。
「ああ、おやすみつばさ」
 嬉しそうな声音で答え、ゆっくりと再び眠りに就く。
 そんな蓮二の頭を優しく撫でてから、つばさも欠伸を1つ漏らすと再び目を閉じて眠りに就く。
 確かに滅多にない貴重な時間だ、たまにはこんな風に自堕落に過ごすのも悪くはない。

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