1.膝枕は僕のもの

 我が家の向かいの家に住む幼馴染みの話をしよう。
 同じ中学に通う我が幼馴染みは、教師の人望が厚く所謂優等生。
 生徒会役員でもあり、強豪男子テニス部に籍を置き三強の1人と称されている。
 涼やかな表情の下で何を考えているのか、謎であり。
 あのどう見ても閉じられた瞳は、本当に見えているのか怪しい。
 そんな我が幼馴染みは、何故か校内ではとてもモテる。
 不思議な事に、人気である。
 生徒会役員であり、強豪テニス部のレギュラーで頭も良く背も高いという好条件が揃っているせいなのか。
 冷静で大人びていると、人気である。
 とても面白くない。
「何だ?」
「何でもない」
 人の膝に頭を乗せ、うたた寝を満喫する幼馴染みの髪をクシャクシャと掻き回せば、咎めるまでいかなくても少しだけ不快そうに問われる。
 大体からして、何で私は膝枕をしなければいけないのか。
「つばさ以外に、膝を貸してくれと気軽に頼める相手は居ないからな」
「っ!心読まないで」
「フッ、読んだ訳ではないさ。」
「むぅ−」
 蓮二の言葉に頬を膨らませば、膨らむ頬を優しく撫でながら微笑む。
 疲れたと言って呼び出して、膝枕をする。
 いつの間にか、定番となり文句を言いながらも貸すのが当たり前になった。
 溜息を吐きつつ、サラリと柔らかな髪をソッと撫でてゆっくりと過ぎて行く時間を静かに過ごす。
 この穏やかな時間を、つばさ自身も好んでいるというのは恐らく今は夢の中の幼馴染みは知っているのであろう。
 他の誰にも見せない、穏やかで気持ちよさそうな寝顔。
 それを見れるのは自分だけという、密かな想いに1人こっそり笑みを浮かべる。
 だからこそ、文句を言いながらも膝を貸すのだろうと結論付ける。
 そんな穏やかな休日の昼下がり。

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