貧血(財前)

痛みはあるのだが、それ以上に眠い。
この眠気は寝ない事には解消されない。
今のこの時期なら、屋上の日陰で寝るのは気持ち良いだろう。
そう判断した名前は、普段ならばそんなに長くはない階段を必死になって上っていた。
授業をサボる事にはなるが、今の状態で受けても結局は寝る事に間違いはないのだから。
それなら、最初から出ない方がいいに決まってると。
思って何とか最上階に辿り着き、ドアを開けようとすれば。
「何しとるんですか?」
「ひ、かる?」
「名前先輩、何しとるんですか?」
背後から声を掛けられ、驚きながらも振り向くと。
そこには予想違わず財前が立っていた。
「で、質問の答えはないんスか?」
「え?あ〜、ちょっと寝ようかな〜?って」
「ああ、アンタ顔色悪いですからね。夜更かしのしすぎですか?」
「違うわよ。っていうか、気にしないで」
「気にするに決まっとりますやん。名前は、俺の恋人やろ?」
ドアを開け、屋上に出ようと一歩を踏み出せば。
腕を捕まえられ、耳元で囁かれる。
腰が砕けそうになるのを、財前が危なげなく抱き留めてくれ。
そのまま、連行されるような形で。
人目に付きにくい、日陰に連れて来られる。
「眠いんやったら、寝たらええです。起こしたりますわ」
「光?」
「たまには、こんなんもええんちゃいます?」
優しくいいながら、膝枕をして頭を優しく撫でてくれる。
その心地よさに身を任せ、ゆっくりと瞳を閉じる。
感じるのは、財前の体温と優しい手の感触。





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