貧血(木手)

本土に比べれば湿気がないだけ、まだ過ごしやすいだろう沖縄の夏。
それでも暑い事には変わりがなくて、この時期にこの痛みと眠気にイライラと闘うのは中々至難の業。
グッタリと机に突っ伏すしかなく、ぼんやりと窓の外。
青空を眺めていれば、友人達が保健室に行く事を薦めてくれる。
確かにそこに行けば、薬もあるしベッドもある。
今よりも遥かにラクな事間違いなし。
けれど、問題が1つ。
そこに行き着くまでの自信がない。
貧血も起こし掛けてる今、机と友達状態が最善で。
あと少しで始まる午後の授業を乗り切れるか、実は不安だったりする。
「何をしているんですか、キミは」
「えーしろ〜」
「具合が悪いなら、サッサと保健室に行きなさいよ」
「もう行く気力がないの〜。えーしろ〜、抱っこして連れて行って」
グッタリと机に伏せたまま、視線だけを上げて。
冷やかに見下ろして来る木手に、甘えるように強請る。
「仕方ありませんね」
溜息を一つ吐くと、アッサリと抱き上げて教室を後にする。
「優しいね、永四郎」
「キミがあまりにも顔色が悪いせいですよ。大体、そんなになる前に行きなさいよ」
「そうだけどさ〜」
「ホラ着きましたよ。大人しく寝ていなさいよ、全く。この俺にこんな事させて、お代は後で貰いますからね」
「タダじゃないの?」
「タダだと、思ってるんですか?」
耳元で囁かれる言葉に、赤面をしながらも布団に潜り込む。
耳朶に響く柔らかな木手の笑い声を子守唄に眠りに就く。





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