マニキュア(財前)

マニュキアを塗るのは、結構好きな方だ。
ただ、自然と色が落ちたりしない限り落とさないでそのままで居る事が多い。
そのせいか、最後の方はあまり綺麗とは言えない状況になっている事が多々あったりするのだけれど。
「名前」
「ん?」
「なんやねん、その爪」
「え?ああ、ちょっと落ちちゃってるね」
「落ちちゃってるねじゃないやろ?貸してみぃ」
「え?」
「落として塗り直したるわ」
そういうと財前は、名前の手を取りソファーに座らせ。
自分はマニュキアが置いてある棚に行き、どの色にしようかと悩む。
そうして選んだ一つを手にして戻れば。
「え?なんで黒なの?もっと明るい色がいいよ〜」
財前が手にするマニュキアの色に、名前が文句を言えば。
「文句言うなや、その爪折るで?」
「!!」
「フン。大人しくしとき」
財前の言葉に怯える名前。
そんな名前を楽しそうに眺め、除光液でまずはマニュキアを落して行く。
綺麗に落ちたのを確認してから、黒のマニュキアをゆっくりと丁寧に塗っていく。
「そんなビビらんでもええやろ。ほんまに折るわけないッスわ」
楽しそうな声で言いながら、1つ1つを塗り。
「ん、ええで」
出来栄えに満足そうに頷き、手を離す。
黒く光る爪。
はみ出る事もムラもない、綺麗に塗られた爪。
「ありがと〜」
「礼はいいッスわ」
「え〜?」
「名前、爪のマニュキア乾くまで何も出来へんやろ?」
「え?」
驚く名前に、意地の悪い笑みを浮かべる財前。
ソファーに手を付き、顔を近付けると。
驚いた表情の名前に笑いながら、キスを一つ。
「んっ?!」
そのまま、後頭部を押さえ付けて堪能する。
力が抜けてソファーにグッタリと身体を預ける名前に、笑みを深くすると。
「タダでこないな事するわけあらへんやろ?甘いっすわ、名前先輩」
にっこりと笑みを浮かべ、耳元で囁く財前。
真っ赤になる名前に、それは楽しそうな笑みを浮かべる財前だった。
2人の夜は、まだ始まったばかり。





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