無防備(日吉)

久しぶりの休日、若に呼ばれて上機嫌で訪ねれば。
何故か2人で、ホラー映画を見る羽目に。
真っ暗な部屋。
2人きりの空間。
なのに、ホラー映画鑑賞。
怖いのは、嫌いなのに。
名前は、若干震えながら視線を逸らす。
耳も塞ぎたいが、さすがにそれをするのは躊躇われ。
そうした瞬間、一番の見せ場が展開され。
耐えきれなくなり、目をキツく瞑り耳を塞ぐ。
それを待っていたとばかりに、後ろから突然抱き締められ。
「やっ!」
「名前先輩、少し無防備すぎじゃないですか?」
「わ、若?」
「男の部屋に2人きり、何をされても文句言えませんよね?」
耳元で囁かれ、服越しに触れてくる指に声が漏れる。
「誰も居ませんから、我慢しなくていいですよ?」
楽しそうに、笑いながら言う。
テレビでは、いまだにホラー映画が流れていて。
名前は、目を開けられない。
耳も塞いでいるが、日吉が低く囁く声だけ聞こえて来る。
「何時もより、感じてますね」
たいそう楽しそうな声に、震えるしかない。
映画が終わる頃には、畳に押し倒されて何も考えられないまま、日吉の好きなようにされる。


「そんな可愛い格好で来るのが悪い」
耳まで赤く染め、そっぽを向いて告げられた言葉。




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