誕生日祝い(白石)

夏休みも真っ只中、お盆という時期に誕生日。
学校があれば、弾みでせめて祝いの言葉だけでもあっただろうけど。
「部活も休みだし………」
外は茹だるような暑さ。
冷房の効いた部屋で、ベッドに転がりながら項垂れる。
堂々と祝って貰える立場でないからこそ、学校は貴重な場所だけど。
休みは嬉しいが、こんな時だけ休みが恨めしくなるのは仕方ない。
携帯を手にして、時間を見ようとすれば突然の着信。
登録外の番号だったのに、手にしていた事もあり思わず出てしまえば。
−お、名前か?元気しとるん?
「え?え?」
−あー、すまん。謙也に聞いたんや
「し……ら、いし?」
ーせやで。なんや、寝とったんか?
「あ、ううん。吃驚して」
心の中で、謙也に感謝しつつもしどろもどろに答えれば。
ーほな、暇やったら外に出て来れへん?
「外?」
ー誕生日なんやろ?お祝い、させてな?
「何で…」
ー何で知ってるかて?そんなん、好きやから知っとるに決まってるやろ
「え?」
ーほら、せっかくの誕生日やん。外で待ってるさかい、はよ出て来い?
「白石、」
ーなん?
「私も、好き」
ー知っとる。バレバレやねん
笑いながら答える白石に、思考が麻痺するが外で待ってるという言葉に、慌てて部屋の窓から外を見れば。
「お!やっと気が付いたん?遅いで」
「白石、ありがとー!直ぐに行く!!」
「慌てんでええよ」
太陽に負けない眩しい笑顔の白石に、漸く私は慌てて用意を始める。
誕生日は、始まったばかり。
きっと、今日は思い出に残る1日になるだろうと予感を胸に、心弾ませ涼しい室内から暑くても、楽しい外に飛び出す。
「誕生日おめでとさん、名前」




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