本物はどっち?(仁王)

仁王雅治という男は、掴み所がない。
飄々としていて、いつだって隙がない。
それでも、強豪テニス部のレギュラーであり。
容姿も美形の分類に振り分けられる仁王は、非常にモテる。
そんな仁王に告白する女子は、多い。
告白をせずとも、想いを寄せる者も多く居る。
名前も、仁王に想いを寄せる一人。
スラリとした肢体は、どちらかというと少年のような雰囲気を醸し出す。
ミステリアスな雰囲気の少女。
「おや、名字さんではないですか」
「柳生」
「お1人ですか?」
身長差から、必然的に見上げる形になる柳生を名前は見上げながら頷く。
仁王とダブルスを組む柳生は、紳士と称される男。
本当に紳士か、怪しい所はあるが。
「名字さんは、仁王くんがお好きですか?」
「何で?」
「いえ、違ったら申し訳ありません。ですが、見ていて何となくそう思ったので」
渡り廊下に立ち止まり、名前は隣りに立つ男を黙って見つめる。
眼鏡の奥には、何を映しているのか分からない。
そうして、二人が見つめ合っていると。
「仁王くん、また人の姿をして!」
反対側から、柳生が姿を見せる。
「何を仰いますか。貴方こそ、仁王くんでしょうが」
隣りの柳生が、答える。
「え?」
柳生が、二人。
「名字さん、貴方ならお分かりになりますよね?どちらが、仁王くんか」
「私が?」
「ええ、そうです。貴方なら、お分かりになるでしょう?

そう言うと、柳生は口端を持ち上げるように笑って名前を見つめる。
その笑いは、まるで・・・。
「仁王くんは・・・」
その笑みにつられる様に、名前はゆっくりと右手を上げる。
答えがどちらかは、知っていたかのように。





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